駆引・掛引・懸引(読み)かけひき

精選版 日本国語大辞典 「駆引・掛引・懸引」の意味・読み・例文・類語

かけ‐ひき【駆引・掛引・懸引】

〘名〙
① 馬を操って前進したり後退したりすること。転じて、戦場で、機に応じて、攻めたり退いたりすること。かけひけ。
太平記(14C後)八「久我縄手は路細く深田なれば、馬の懸引(カケヒキ)も自在なるまじ」
※読本・昔話稲妻表紙(1806)一「進退懸引(カケヒキ)の道、其理を得ざるといふことなし」
商売交渉などで、相手の出方や事情に応じて、自分に有利になるように処置すること。臨機応変の処置。策略
上井覚兼日記‐天正一四年(1586)七月一四日「先日両使従日州指上申候刻、御懸引共被成候」
明暗(1916)〈夏目漱石〉一四七「彼には彼相当の懸引(カケヒキ)があるので」
温度などを調節すること。
米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一「屋内園圃は、冷熱乗除(カケヒキ)自在にて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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