驕・奢(読み)おごる

精選版 日本国語大辞典 「驕・奢」の意味・読み・例文・類語

おご・る【驕・奢】

〘自ラ五(四)〙
① 人に優越した自分の立場を当然と思う。いい気になる。得意になる。増長する。わがままにふるまう。
書紀(720)継体二一年八月(前田本訓)「侮(あなづ)り嫚(オゴリ)て、自ら賢とおもへり」
② 必要以上にぜいたくな状態になる。
※守護国界主陀羅尼経平安中期点(1000頃)一〇「富める者をば日にますます侈(ヲコラ)しめ、貧乏の者をばいよいよ貧窮を益す」
③ 転じて、自分の金で飲食や物品を他人にふるまう。
咄本・聞上手二篇(1773)己惚「何でもそばをおごるなら、こん夜は此内での色おとこに買せふではないか」
④ 馬などが制御しがたいほどいきりたつ。
[語誌]「観智院本名義抄」には、「奢・傲・侈・誇・矜・詡」などの漢字に「オゴル・ホコル」の両訓が施され、また、「書陵部本名義抄」には「オゴル(上・上濁・平)」「ホコル(上・上・平)」のアクセントが示されていて、「ほこる」との語義・語形の類似が認められる。「おごる」「ほこる」両語の第一義はほぼ類似するが、「ほこる」が「すぐれていると思う気持を態度に表わす」のに対し、「おごる」は「人に優越した自分の立場を当然と思って行動する」意を表わす。そこから「おごる」には江戸時代以降、③の意が生じることになる。

おごり【驕・奢】

〘名〙 (動詞「おごる(驕)」の連用形の名詞化)
① 勢いにまかせて行動すること。得意になっていばること。わがままなふるまい。思いあがり。驕慢
太平記(14C後)一一「或は無礼の驕(ヲゴリ)の前に手を束ねて恥を忍びき」
② 過分の金銭を費やすこと。ぜいたく。奢侈(しゃし)。過差。
※書紀(720)継体八年三月(前田本訓)「夫れ暴虐(しひわざ)し奢侈(オゴリすさび)し、悩まし害(そこ)なひ、侵(をか)し凌ぎ、誅(つみ)なへ殺すこと尤(はなはだ)多し」
徒然草(1331頃)一八「人は己れをつづまやかにし、おごりを退けて、財(たから)をもたず」
③ 人に御馳走すること。ふるまうこと。
※咄本・楽牽頭(1772)大根売「はつ鰹のおごりに、客、大根おろしの所望

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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