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高句麗をめぐる歴史認識問題

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高句麗をめぐる歴史認識問題

高句麗とは、紀元前1世紀から668年まで朝鮮半島から中国の東北地方にまたがる地域に存在した古代国家。中国政府の研究機関が02年から始めた研究プロジェクト「東北工程」で、高句麗を中国の地方政権と位置づける動きが報じられると、高句麗を朝鮮民族の歴史とする韓国が強く反発した。中国が単独で高句麗遺跡を世界遺産に登録申請したことや、朝鮮民族の聖地とされる白頭山(中国名、長白山)の観光開発などもからみ、中韓間での歴史問題となっている。○台湾台湾史を独立台湾独立を志向する民進党政権の下、台湾でも歴史教育が大きく転換した。その推進役を果たしてきたのが、04年に教育部長(教育相)に就任した歴史学者の杜正勝氏。杜氏は「台湾の歴史教育は、政治闘争ナショナルアイデンティティーに連なるもので、教育改革全体のカギになる」と説明する。台湾での教育改革は李登輝・前政権(国民党)後半の90年代半ばから進み、小中高校の教科書の内容も大きく変わった。それまでは「一つの中国」の立場から、中国大陸の歴史や地理を学び、生徒たちが暮らす台湾の歴史はその一部とされ、ごくわずかしか教えられなかった。教科書も教育部(教育省)傘下の機関が編集する標準教科書しかなかった。台湾を主体とする教育改革の先駆けになったのが、97年に中学1年に導入された新科目「認識台湾」(台湾を知ろう)だった。この科目は歴史、地理、社会の3部門に分かれ、それまでの教科書にはなかった日本植民統治の台湾近代化への貢献や戦後の国民党による弾圧(二・二八事件)などにも詳しく触れた。杜氏はこの「認識台湾」(社会編)の編集主任も務めている。00年に民進党の陳水扁政権が誕生。「認識台湾」は5年間使われた後、小中9年一貫教育の新課程の導入で、その内容は「社会領域」に取り込まれた。さらに、自由化と多様化を軸に教科書作りも民間出版社に開放され、教育部が審査する方式に変わった。今年9月の新学期にはさらに改定を加えた新教科書がお目見えする。杜氏が提唱した「同心円」理論が現在の歴史教科書を支える柱だ。家族、ふるさとから、台湾、中国、世界へと同心円状に理解を広げていく。さらに「詳今略古」(今を詳しく、昔は簡略に)という時間軸の原則も打ち出した。高校では昨年の新学期から新しい歴史教科書が使われている。それまでの「本国史」と「世界史」の区分けが、「台湾史」「中国史」「世界史」に変わった。高1の前半で台湾史を、後半で中国史を学ぶ。杜氏は「台湾の学生にとって歴史教育の最大の変化」と位置づける。一方、野党・国民党の政治家らは「数千年の歴史を誇る中国史が圧縮された」「親日的だ」と反発しており、政治と歴史教育が密接にからみあっていることを示している。(田村宏嗣)○日本教育基本法改正が転機に日本の歴史教育も転機を迎えようとしている。安倍晋三首相は4月、国会でこう語った。「戦後、歴史や伝統や文化、郷土そして国に対する敬意が、むしろないがしろにされてきたという私の問題意識がある。まさにその中で、教育基本法が改正された」昨年暮れ、戦後初めて改正された同法は「伝統と文化を尊重し」「我が国と郷土を愛する」態度を養うことを掲げた。今国会では学校教育法改正案が成立する見通しで、文部科学省学習指導要領今年度にも改定する考えだ。図にある通り、日本の中学校の歴史授業のコマ数は中国や韓国の半分ほど。教科書の厚さは半分にも満たない。年間の総授業数が少ない上、社会科の中では地理、歴史、公民の3分野をほぼ均等に教えているからだ。さらに高校では必修のはずの世界史の「履修漏れ」も明らかになった。伊吹文明文部科学相は国会審議で、高校で選択科目になっている日本史の必修化を検討する考えを示している。「歴史的事実を教えることで、国を愛する態度が養われてくる」と語った。歴史教育の変遷に詳しい明治大の山田朗教授は「戦後の歴史教育は戦前の反省から出発したが、一国主義に回帰しようとする動きがあり、注意が必要だ。その上で、受験のためでなく、子どもたちに必要な歴史教育とは何かを議論すべきだ」と話す。(吉沢龍彦)

(2007-05-28 朝日新聞 朝刊 東特集A)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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