入眼(読み)じゅがん

精選版 日本国語大辞典 「入眼」の意味・読み・例文・類語

じゅ‐がん【入眼】

〘名〙 (「じゅ」は「入」の慣用音)
① ものごとの完了すること。また、完成すること。なしとげること。
愚管抄(1220)三「女人此国をば入眼(じゅがん)すと申伝へたるは是也」
② 平安時代以降、叙位の際、位階のみ記した位記姓名を書き入れること。じゅげん。〔西宮記(969頃)〕
③ 平安時代以降、春・秋の除目の最終日のこと。
※中右記‐康和四年(1102)正月二三日「人人参上、除目入眼被始」
仏像を造ってその開眼をすること。開眼。じゅげん。
随筆松屋筆記(1818‐45頃)九六「入眼(ジュガン)と云は〈略〉入眼は開眼(かいげん)といふも同じ」
⑤ 対立していた者どうしがもとどおりの良い関係になること。
※雑筆往来(13C中‐後か)「評議治定訖、可入眼也」
⑥ 見えること。眼にとまること。〔陸游‐縦筆詩〕

にゅう‐がん ニフ‥【入眼】

〘名〙
義眼を入れること。また、その義眼。

じゅ‐げん【入眼】

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「入眼」の意味・読み・例文・類語

じゅ‐がん【入眼】

新作の仏像などに開眼かいげんをすること。開眼。じゅげん。
叙位や除目じもくのときに、位階だけを記した位記や官職だけを書いた文書に、氏名を書き入れて完成させること。じゅげん。
物事が成就すること。完了。
「女人此の国をば―すと申し伝へたるは」〈愚管抄・三〉

じゅ‐げん【入眼】

じゅがん(入眼)

にゅう‐がん〔ニフ‐〕【入眼】

じゅがん(入眼)

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普及版 字通 「入眼」の読み・字形・画数・意味

【入眼】にゆうがん・じゆがん

見える。

字通「入」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の入眼の言及

【大間書】より

…除目の銓擬(せんぎ)が終了すると,執筆の大臣が欠員官職名の下に任官候補者の位階氏姓名を記入する。これを入眼という。入眼を終えると奥に日付を記入し,奏覧を経て清書の上卿に付せられ,黄紙もしくは白紙に清書された。…

※「入眼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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