日本大百科全書(ニッポニカ) 「鬼瓦(建築)」の意味・わかりやすい解説
鬼瓦(建築)
おにがわら
屋根の頂にある大棟(おおむね)の両端や降棟(くだりむね)・隅棟(すみむね)の端に飾られる瓦。表面に鬼面がつけられるので鬼瓦という。中国や朝鮮、日本で古くから魔除(まよ)けとしてつけられてきた。わが国の7世紀の鬼瓦は、鬼面がつかずに蓮華文(れんげもん)が飾られるのが一般的であったが、8世紀からは鬼面のつくものが主流を占める。近世になると、鬼面のかわりに家紋や桃などの植物で飾られるものが多い。建物の大棟両端には、古代には鴟尾(しび)(鮪(まぐろ))がのせられるのが正式であった。また瓦葺(かわらぶ)きの屋根と違って、檜皮(ひわだ)葺きや杮(こけら)葺きの屋根では大棟の両端には鬼瓦でなく、獅子口(ししぐち)を飾ることが多い。この獅子口には、鬼瓦と違って上端に経の巻(きょうのまき)とよばれる筒状の飾りがつく。近世の城郭建築では、鴟尾のように鯱(しゃち)が大棟に飾られるが、下に鬼瓦も併用されている。
[工藤圭章]
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