(読み)なまず

精選版 日本国語大辞典 「鯰」の意味・読み・例文・類語

なまず なまづ【鯰】

〘名〙
ナマズナマズ科淡水魚体長はふつう五〇センチメートルぐらいになる。頭部と口が大きく、上顎下顎に各一対、計四本の口ひげ(幼魚では六本)をもつ。うろこはなく体表は粘液でおおわれ、ぬるぬるする。背びれはきわめて小さく、しりびれは発達して長い。胸びれに太いとげをもつ。背面は青黒く、腹面は白い。川や湖沼の砂泥底にすみ、小魚やカエルを捕食。五~六月に水草に卵を産みつける。食用とする。近縁種に、琵琶湖特産のビワコオオナマズなどがある。本州から九州、朝鮮半島、台湾、中国東部、ベトナム北部に分布。《季・夏》 〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
② (①の大きいのが地中にいて、地震は、これがあばれるために起こるという俗説があったところから) 地震。
雑俳・冠独歩行(1702)「夥し・なまづが背負ふ日本国」
③ (①は、からだが大きく沼などの底にすみ、夜に活動するところから) 大酒飲みのたとえ。うわばみ。大とら。
※歌舞伎・金幣猿島都(1829)大詰「一体、鯰(ナマズ)のおいら二人を」
④ (「鯰に瓢箪(ひょうたん)」の表現から) つかまえにくいこと、とらえどころがないこと、要領を得ないこと。また、そのようなものごと。
※雑俳・たうへがさ(1716‐36)「是は扨・鯰押へに母が行く」
⑤ 「なまずひげ(鯰髭)」の略。
演歌・ヤッツケロ節(1887‐92頃)〈久田鬼石〉「こんな鯰(ナマズ)は我々が自由の鉄拳(げんこ)でヤッツケロー」
※歌舞伎・四天王産湯玉川(1818)五立「路地番猪の熊坊主、なまづにて」

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デジタル大辞泉 「鯰」の意味・読み・例文・類語

なまず〔なまづ〕【×鯰】

ナマズ目ナマズ科の淡水魚。流れの緩やかな川や湖沼の泥底にすみ、全長約50センチ。頭部は縦扁するが尾部は側扁し、うろこはない。口ひげは4本ある。体色は暗褐色ないし緑褐色で、雲形斑紋のあることが多い。夜行性。東アジアに分布。食用。近縁種に琵琶湖特産のビワコオオナマズ・イワトコナマズがある。 夏》「―見てもの書けぬ時慰みぬ/青邨
(大ナマズが地中であばれるため地震が起こるという俗説から)地震のこと。
鯰髭なまずひげ」の略。
[補説]「鯰」は国字。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「鯰」の解説

鯰 (ナマズ)

学名:Silurus asotus
動物。ナマズ科の淡水魚

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