鳥辺山・鳥部山(読み)とりべやま

精選版 日本国語大辞典 「鳥辺山・鳥部山」の意味・読み・例文・類語

とりべ‐やま【鳥辺山・鳥部山】

[一] 京都市東山区今熊野の地名。阿彌陀ケ峰の西側のふもとにある。古く、火葬場があり、墓地が多かった。鳥辺野。
※元良親王集(943頃か)「よの中にうれしきものはとりべ山かくるる人をみつるなりけり」
[二] 地歌。お染と半九郎が鳥辺山で心中する道行をうたったもの。近松門左衛門作詞、湖出金四郎作曲、岡崎検校改調。宝永三年(一七〇六)京都の都万太夫座および大坂岩井座で歌舞伎「鳥辺山心中」の道行の曲として用いられたときの歌を受け継ぐ。浄瑠璃「近頃河原達引(ちかごろかわらのたてひき)」の一場面にも用いられる。
[三] 薗八(そのはち)節。明和四~五年(一七六七‐六八)頃、初世宮薗鸞鳳軒(らんぽうけん)作曲。塩谷縫之助と遊女浮橋が、鳥辺山心中の二人に仮装した道行。近松半二ほか合作の浄瑠璃「太平記忠臣講釈(たいへいきちゅうしんごうしゃく)」の五番目「道行人目重縫(みちゆきひとめのしげぬい)」を典拠としたもの。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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