鹿島(茨城県)(読み)かしま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鹿島(茨城県)」の意味・わかりやすい解説

鹿島(茨城県)
かしま

茨城県南東部、鹿島郡にあった旧町(鹿島町(まち))。現在は鹿嶋市の南部を占める一地区。1889年(明治22)町制施行。1954年(昭和29)高松、豊津(とよつ)、豊郷(とよさと)、波野(なみの)の4村と合併。1995年(平成7)大野村(おおのむら)を編入して鹿嶋町と名称変更、市制施行して鹿嶋市となる。東側は鹿島灘(なだ)、西側は北浦に面し、北半部は標高40メートルの鹿島台地、南半部は低平な鹿島砂丘をなし、海洋性の温暖な気候をもつ。JR鹿島線、鹿島臨海鉄道、国道51号、124号が通じる。中心の宮中(きゅうちゅう)地区には、創建の古い鹿島神宮がある。皇室武将、庶民の信仰を集め、鳥居前町が発達した。中世には源頼朝(よりとも)の保護が厚く、常陸大掾(ひたちだいじょう)氏の一族鹿島氏が鎌倉幕府の御家人(ごけにん)となりこの地を支配、近世は観光と信仰で繁栄した。しかし農漁業は振るわなかった。1960年以来鹿島開発の計画が進み、掘込み式の鹿島港の完成と世界最大級の高炉をもつ住友金属工業(現、新日鉄住金)の製鉄所などができ、5064億円(1996)の製造品出荷額をもつ臨海工業地帯となった。海岸寄りの平井地区に情報通信研究機構NICT鹿島宇宙技術センターがある。水郷筑波(すいごうつくば)国定公園に含まれる。

[櫻井明俊]

『『鹿島町史』全3巻(1972~1981・鹿島町)』

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