黄金(読み)おうごん

精選版 日本国語大辞典 「黄金」の意味・読み・例文・類語

おう‐ごん ワウ‥【黄金】

〘名〙
① こがね。金(きん)
※醍醐寺本元興寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747)「高麗大興王方睦大倭、尊重三宝、遙以随喜、黄金三百廿両助成大幅、同心結縁」 〔戦国策‐楚策〕
黄金色のもの。金色(こんじき)
※参天台五台山記(1072‐73)一「有方池、有黄金白銀魚出遊
金銭貨幣。特に、大判(おおばんきん)の称。
浮世草子西鶴織留(1694)五「又、連歌の花の本より、露といふ一字を黄金(ワウコン)弐十枚に置れける」 〔史記‐季布伝〕
④ 最も輝かしいこと。最良。
オリンポス果実(1940)〈田中英光〉七「ぼくは、本当に、黄金の日々を過してゐたのでした」

こう‐きん クヮウ‥【黄金】

〘名〙 こがね。金(きん)。また、黄金色をしたもの。おうごん。
性霊集‐四(835頃)進柑子表「如星如玉黄金質 香味応簠簋

き‐がね【黄金】

〘名〙 こがね。おうごん。近世では、大判や小判をいう場合が多い。〔観智院本名義抄(1241)〕
※浮世草子・西鶴織留(1694)二「都の人に黄金(キガネ)八十枚に代(しろ)なしてより次第に分限と成」

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デジタル大辞泉 「黄金」の意味・読み・例文・類語

こ‐がね【黄金/金】

《「くがね」の音変化》
きん。おうごん。→あかがねくろがねしろがね
大判小判などの金貨
黄金色」の略。
[類語]黄金おうごん金銀純金十八金金塊砂金金粉ゴールド

おう‐ごん〔ワウ‐〕【黄金】

こがね。きん。「黄金仏像
金銭。貨幣。特に、大判の金貨。「黄金崇拝」
価値のある貴重なもの。「黄金の日々」「黄金の脚」
[類語]黄金こがね金銀純金十八金金塊砂金金粉ゴールド

き‐がね【黄金】

黄金こがねのこと。近世、特に大判小判を指す。
「都の人に―八十枚にしろなしてより」〈浮・織留・二〉

く‐がね【黄金】

きん。こがね。
しろかねも―も玉も何せむに優れる宝子にしかめやも」〈・八〇三〉

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「黄金」の意味・わかりやすい解説

黄金
おうごん
The Treasure of the Sierra Madre

アメリカ映画。1948年作品。ジョン・ヒューストン監督。ヒューストンが得意とした、いわゆる「努力水泡」型冒険物語の代表作。メキシコのシエラマドレ山中で苦労の末、砂金を発見した三人のアメリカ人(ハンフリー・ボガート、ティム・ホルトTim Holt(1919―1973)、ウォルター・ヒューストンWalter Huston(1884―1950))が、独占欲や猜疑(さいぎ)心の虜(とりこ)となって、最後にはすべてを失ってしまう。これを監督のヒューストンは、第二次世界大戦中に激戦地でのドキュメンタリー映画制作で培った荒々しいまでの即物的タッチで描いていく。B・トレイブンB. Traven(1882―1969)の小説をヒューストン自身が脚色したこの映画は、アカデミー監督賞、脚色賞、助演男優賞を受賞。ヒューストンは2部門で、また、父親のウォルター・ヒューストンと史上初の親子受賞の快挙も達成した。

[宮本高晴]

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デジタル大辞泉プラス 「黄金」の解説

黄金〔映画〕

1948年製作のアメリカ映画。原題《The Treasure of the Sierra Madre》。監督:ジョン・ヒューストン、出演:ハンフリー・ボガート、ウォルター・ヒューストン、ティム・ホルトほか。第21回米国アカデミー賞作品賞ノミネート。同監督賞、助演男優賞(ウォルター・ヒューストン)、脚色賞受賞。

黄金〔小説〕

英国の作家ディック・フランシスのミステリー(1987)。原題《Hot Money》。競馬界を舞台にしたシリーズの第26作。

黄金〔錦鯉の品種〕

錦鯉の一種。全身が金色の光り無地もの。新潟県在住の青木沢太氏が作出。以後、多くの派生品種を生んだ。

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普及版 字通 「黄金」の読み・字形・画数・意味

【黄金】こうきん・おうごん

金。

字通「黄」の項目を見る

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「黄金」の解説

おうごん【黄金】

広島の日本酒。蔵元は「高田酒造」。現在は廃業。蔵は豊田郡大崎上島町にあった。

出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の黄金の言及

【金】より

…英語gold,ドイツ語Goldは,ともにサンスクリットの〈輝く〉という意味の語に由来するとされている。日本では古くから黄金(おうごん∥こがね)と呼ばれ,五色の金の一つとされている。 古くから使用された理由は,大部分単体の形で産出するからである。…

【大仏開眼】より

…この間元正上皇,僧行基は大仏の完成をみることなく物故していた。 塗金に用いる黄金の入手には苦慮していたが,749年2月に陸奥国小田郡(現,宮城県遠田郡涌谷町)より黄金産出の報が告げられ,4月1日に聖武天皇,光明皇后をはじめ百官が東大寺に詣で,日本最初の産金に対して,大仏の加護を謝す長文の宣命が左大臣橘諸兄により奉読された。ついで功臣,造寺関係者などにも官位の昇叙があり,歌人である越中国守大伴家持も《万葉集》にこのときの和歌をのこしている。…

【金】より

…英語gold,ドイツ語Goldは,ともにサンスクリットの〈輝く〉という意味の語に由来するとされている。日本では古くから黄金(おうごん∥こがね)と呼ばれ,五色の金の一つとされている。 古くから使用された理由は,大部分単体の形で産出するからである。…

※「黄金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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