〘形口〙 きつ・し 〘形ク〙
① 感覚に受ける刺激が強い。
※
史記抄(1477)一四「石之為
レ薬精悍とは精かきつくきふい心ぞ」
※
司令の休暇(1970)〈
阿部昭〉一「もう日射しがきつかった」
② いいかげんなことでは許さないさま。厳しい。〔
日葡辞書(1603‐04)〕
③ こらえたり、なしとげたりするのが大変である。たえがたくつらい。
※土井本周易抄(1477)四「家を治めはきつからうぞ」
※黒い眼と
茶色の目(1914)〈
徳富蘆花〉六「ああたがまた来たかちう顔ばした時ア、俺ア本当にきつかった」
④ 人の気性がはげしく勝気である。また、そのように感じさせる様子である。
※史記抄(1477)一九「言は性がきりきざむ様にきつうて遠慮がないぞ」
※桑の実(1913)〈
鈴木三重吉〉一一「もともとひどく感情のきつい人で」
⑤ 物理的にすき間がない。ゆるみがない。また、せまくて窮屈だ。
※若い人(1933‐37)〈
石坂洋次郎〉上「緒のきつい草履を」
⑥ 程度がはなはだしい。大変な程度である。ひどい。
※三体詩幻雲抄(1527)「漢には為父きつい孝心なり」
※西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉九「どこか強(キツ)く痛めたと見へるぜ」
⑦ ある行為やことば、状況などに対して、それが普通でないことを感嘆の気持を込めていう。たいしたものだ。
※浄瑠璃・博多小女郎波枕(1718)上「問つめられて間似合詞(まにあひことば)『きついかきついか』」
⑧ 全くその通りである。
※洒落本・通言総籬(1787)二「『むかふからくるのはだれだと思ふ』『竹屋の哥衣さ』『こいつはきつい』」
※滑稽本・浮世床(1813‐23)初「きついきつい、違あるめへ」
[補注]江戸語では、「きつい」の形で、形容詞、形容動詞などに続く、副詞的な用法の例がみられる。「名歌徳三舛玉垣‐五立」の「雨の降るのはきつい嫌い」など。
きつ‐げ
〘形動〙
きつ‐さ
〘名〙