(読み)ワ

デジタル大辞泉 「わ」の意味・読み・例文・類語

わ[終助]

[終助]活用語終止形に付く。
主に女性が用いて、軽い決意や主張を表す。「もう忘れてしまった」「わたしも出席する
驚き・感動・詠嘆の意を表す。「まあ、きれいだ」「水は出ない電気は止まるで、さんざんな目にあった」「散る散る、まるで木の葉の乱舞だ」
「年がよると物事が苦労になる―」〈滑・浮世床・初〉
[補説]係助詞「は」から生まれたもので、中世後期以降、終助詞として固定した。「わ」の表記は、中世末期ごろから。

わ[間助]

[間助]上代語副詞助詞に付く。念を押したり、相手へ呼びかけたりする意を表す。
「うるはしき十羽とばの松原わらはどもいざ―出で見む」〈・三三四六〉

わ[感]

[感]
驚いたときに発する声。わあ。わっ。「、すてき」
大声で泣いたり笑ったりするときに発する声。
「小児の泣く声の―と聞こゆ」〈名語記

わ[五十音]

五十音図ワ行の第1音。両唇の間を狭めて発する半母音[w]と母音[a]とから成る音節。[wa
平仮名「わ」は「和」の草体から。片仮名「ワ」は「和」のつくり「口」の草体から。
[補説]片仮名「ワ」の字源は、一説に、「輪」を示す記号「〇」を二筆で書いたものからともいわれる。

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精選版 日本国語大辞典 「わ」の意味・読み・例文・類語

〘終助〙 (係助詞「は」の文末用法から出たもの) 会話文末の活用語の終止形を受けて感動を表わす。「は」と表記されることも多い。→終助詞「は」
① 発言内容を感動をこめて確認する。
※天草本平家(1592)二「コト ガ デキタ ua ()トユウテ ハセムカワウゾ」
※石川五右衛門の生立(1920)〈上司小剣〉九「まア、何んでもええ。こっちへおいで」
② (①の用法から) 「わ」で終止する短い感動の文をたたみかけて用いる。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)四「随意に今日は寒(さむい)。暑(あつい)。雨がふる。風が吹。などいわすぞ」
③ 表現をやわらげて発言内容を確認し、軽く聞き手に働きかける女性語。
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一「姉さんがやらなけりゃア、妾だって否です
[語誌](1)②の用法は、結果的に列挙表現となるが、「わ」それ自体はやはり感動の表現である。
(2)③の用法は①の用法から出たもの。江戸時代以前には男女の別なく用いられた①の用法が、明治以後男女により差が生じてきた。頻度的に女性に偏しただけでなく、女性使用の場合には③の用法が主流となった。①の用法は話者自身に対しての確認のニュアンスがあり、相手に対しては、ややつきはなした尊大な物言いとなるが、③の用法は聞き手を意識して、相手の同意を期待する確認で、また①と③ではイントネーションも異なる。

[1] 〘感動〙 驚いた時に思わず発することば。
※天理本狂言・入間川(室町末‐近世初)「わ、さればこそ、はらをたてたがだうりじゃ」
[2] 〘副〙
① 急に大声で泣くさまを表わす語。
※名語記(1275)二「小児のなく声のわときこゆ、わ如何」
② 大勢がいっせいに笑う声を表わす語。
※長門本平家(13C前)一六「敵も味方もわとぞ笑ひける」

〘間投助〙 文節末にあって、発言内容に対する確認を表わす。
※古事記(712)中・歌謡「いざ吾君(あぎ) 振熊が 痛手負はずは鳰鳥(にほどり)の 淡海の海に 潜(かづ)きせな(ワ)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「わ」の意味・わかりやすい解説

五十音図第10行第1段の仮名で、平仮名の「わ」は「和」の草体からでき、片仮名の「ワ」は「和」の旁(つくり)からとも、「輪」の符号「○」からともいわれる。万葉仮名では「和、宛、倭、渦(以上音仮名)、丸、輪(以上訓仮名)」などが使われた。ほかに草仮名としては「(和)」「(王)」「(○)」「(倭)」「(輪)」などがある。

 音韻的には/wa/で、両唇を狭めて発する有声摩擦音[w]を子音にもつ。平安時代中期以後、語頭以外の「は」はワと発音されるのが原則となったが、現代仮名遣いでは、助詞の「は」を除いて、みな発音どおり「わ」と表記されている。

[上野和昭]

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