丈夫(読み)じょうふ

精選版 日本国語大辞典 「丈夫」の意味・読み・例文・類語

じょう‐ふ ヂャウ‥【丈夫】

〘名〙 (「じょうぶ」とも。昔、中国の周の制で、八寸を一尺とし、一〇尺を一丈とし、一丈を男子身長としたところからいう)
一人前の男子。
※家伝(760頃)上「或語云、雄壮丈夫二人、恒従公行也」
※内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉三「目になかぬ丈夫(ジャウフ)死別は、思ひやるさへにいと痛まし」 〔易経‐随卦〕
② 心身ともにすぐれた男子。勇気ある立派な男子。大丈夫。ますらお。
太平記(14C後)一八「此人丈夫(ヂャウブ)の心ねをばして、加様に思ひ給けるこそ憑(たのも)しけれ」
※談義本・根無草(1763‐69)後「十二や三の子心にて、年に似合ぬ丈夫(ジャウブ)の魂」 〔漢書‐主父偃伝〕
③ 夫。良人。
[補注]③について「読本・南総里見八犬伝‐三」に「告て丈夫に逓与(わたさ)んと」とあり「丈夫」にヲットのよみが付いている。

じょう‐ぶ ヂャウ‥【丈夫】

[1] 〘形動〙
① 身に少しの疾患損傷もなく、元気であるさま。すこやかなさま。壮健。達者
※虎寛本狂言・梟(室町末‐近世初)「誠に日頃丈夫な者で御座るが、何と致いてむつけましたか」
② しっかりしていてこわれにくいさま。堅固
※俳諧・伊勢山田俳諧集(1650)寄合「秘蔵をしつつ鳥をこそかへ 岩垣の丈夫也ける泉水に」
雪中梅(1886)〈末広鉄腸〉上「此の監獄は中中堅固(ヂャウブ)だから手が付けられねえ」
③ たしかなさま。確実なさま。
※謡曲・舟弁慶(1516頃)「いや最前武蔵殿の、御座舟のことを仰せ付けられて候ふ間、丈夫に申し付けて候」
浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)二「某義は、さのみ丈夫(ヂャウブ)の貯(たくはへ)もあらざれば」

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デジタル大辞泉 「丈夫」の意味・読み・例文・類語

じょう‐ぶ〔ヂヤウ‐〕【丈夫】

[形動][文][ナリ]
健康に恵まれているさま。達者。「丈夫で、病気ひとつしたことがない」「からだが丈夫な子」
物が、しっかりしていて壊れにくいさま。「丈夫なひも」「値段の割に丈夫な靴」
確かなさま。確実。
「何十年でも此所ここに留めませと―なる言ひ渡し」〈浮・歌三味線・一〉
[派生]じょうぶさ[名]
[名]じょうふ(丈夫)
[類語](1強い達者健康壮健強壮強健頑健元気無事息災健全健勝矍鑠かくしゃくすこやかまめタフ屈強剛健頑丈マッチョぴんしゃんぴんぴんしゃんとしゃんしゃんしゃきっとしゃっきり不死身強靭生き生き意気軒昂けんこう老健/(2堅固けんご強堅頑丈堅牢けんろう強靭きょうじんしっかり強いタフ揺るぎない強固頑強屈強牢固不屈剛毅剛健剛胆

じょう‐ふ〔ヂヤウ‐〕【丈夫】

《「じょうぶ」とも。中国の周の制度で1丈(約2メートル)を男子の身長としたところから》りっぱな男。ますらお。「堂々たる丈夫」「偉丈夫
[類語]男性男子野郎男児おのこ壮丁そうていますらお紳士殿方ジェントルマン

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普及版 字通 「丈夫」の読み・字形・画数・意味

【丈夫】じよう(ぢやう)ぶ

男子。ますらお。唐・張謂〔喬琳に贈る〕詩 夫會(かなら)ず應(まさ)に知己(ちき)るべし 世上悠悠(いういう)、何ぞ論ずるに足らん

字通「丈」の項目を見る

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とっさの日本語便利帳 「丈夫」の解説

丈夫

日本では壮健、健康であること。中国では結婚した後の男性、「ご主人」のこと。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

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