デジタル大辞泉
「下手」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
した‐て【下手】
〘名〙 (「したで」とも)
※
平家(13C前)四「つよき馬をばうは手にたてよ、よはき馬をばした手になせ」
※西園寺鷹百首(14C後‐15C前か)「した手よりよこさまに立まはる鳥そ
かひに鷹ぞよりて空とる」
② 他より劣ること。また特に、下の地位、または、その地位にあるもの。主従関係において従う方のもの。
下位。下輩。
※
千五百番歌合(1202‐03頃)一三二二番「それもかたみの
有明の月にならべばしたてにやなり侍らん」
※
太平記(14C後)六「元来其の心闊如として、人の下風
(シタテ)に立ん事を思はざりければ」
③
犬追物で、自分の馬の後に立った射手。⇔
上手。〔犬追物付紙日記(1460‐66頃か)〕
④ 相撲で、相手の差し手の下から相手のまわしを取ること。また、その手。⇔
上手。〔無刊記刊本碧巌鈔(1620‐40頃)〕
⑤ (形動) (「したで」の形で用いられることが多い) 人にへりくだるような
態度をとること。また、そのさま。→
したてに出る。
※いさなとり(1891)〈
幸田露伴〉
三四「和
(やさ)しく下手
(シタデ)に涙で口説かば万一は折れもすべきに」
⑥ 特に、囲碁や将棋の対局者で、段位、級位の下の者。また、
技量の劣る者。〔モダン新用語辞典(1931)〕
しも‐て【下手】
① 川の流れていく方。下流。〔和英語林集成(
再版)(1872)〕
②
劇場の舞台の、客席から見て左側の部分。しもざ。
※歌舞伎・四天王楓江戸粧(1804)三立「この時下座にて人音するゆゑ、下手(シモテ)の方へ小隠れする」
③ 部屋などで、地位の低い人のすわる方。
※露団々(1889)〈幸田露伴〉一九「知県公庁の
広間に着坐すれば〈略〉
警吏は元龍唐狛を下手
(シモテ)の左に吟蜩子を右に引きすゑて」
※
袖中抄(1185‐87頃)二〇「よわくひけば、
かみてしもての綱ゆるびてわろければ」
げ‐しゅ【下手】
〘名〙
① (━する) 物事にみずから手をくだすこと。
※律(718)
賊盗「若群党共殺。止移
二下手者及頭首之人
一」
※山王絵詞(1310頃)八「此訴人は、汝十三歳の時、備前の国に在し時、とらへし所の魚類也。まさしく下手せすといへとも、漁人にともなひし故に、訴申所也云云」
② (━する) 物事に手をつけること。着手。
※米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉二「空によりて意想を回し、大略慮至れば、直に工業に下手し」
③ 身分などの低い人。人の下についている人。下輩。下種(げす)。
※左経記‐長元四年(1031)正月二八日「宣孝朝臣、依レ打二彼国住僧道覚之下手一、公家有レ召」
へた【下手】
〘名〙 (形動) (「はた(端)」あるいは「へた(端)」の変化したもので、奥深くないの意からか)
① 物事に巧みでないこと。拙劣であること。劣ること。手ぎわの悪いこと。また、そのさまや人。
※連理秘抄(1349)「取るまじき所を取り、捨つまじき所を捨つるはへた也」
② なまじっかなことをして結果が悪くなること。また、そのさま。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四「額の汗を下手(ヘタ)に拭と、色男の面が藍隈になる」
※二つの話(1946)〈井伏鱒二〉「へたして、小者どもにたかられるな」
③ 身分が卑しいこと。また、性質や行状のよくないこと。また、そのさまや人。
※袖中抄(1185‐87頃)二「わろき身を、へたとも云也」
くだり‐て【下手】
〘名〙 細工の劣るもの。安価な下等品。安物。
※浮世草子・好色五人女(1686)二「くだり手のかたし目貫」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
普及版 字通
「下手」の読み・字形・画数・意味
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