去る者は日々に疎し(読み)さるものはひびにうとし

故事成語を知る辞典 「去る者は日々に疎し」の解説

去る者は日々に疎し

親しい者でも、顔を合わせなくなると、日が経つにつれて疎遠になっていく、ということ。また、死んだ人は一日一日と忘れられていく、ということ。

[使用例] 「去る者は日々に疎し」というけれど、母をはじめとして、日本のだれかれの面影さえ、日を追って、まるで紗幕でもかかったかのように不鮮明にボケていった[高峰秀子わたしの渡世日記|1976]

[由来] 「文選」に収録された、作者不詳の詩「古詩十九首」の一節。古いお墓のそばを通りかかった旅人が、「去る者は日にもって疎し(いなくなった者は日に日に忘れ去られるものだ)」とうたい、望郷の念を募らせています。この詩の場合、「去る者」とは、死んだ人と、付き合いのなくなった人の両方を指していると思われます。

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ことわざを知る辞典 「去る者は日々に疎し」の解説

去る者は日々に疎し

親しい者でも、離ればなれになって顔を合わせなくなると、月日がたつにつれて疎遠になっていく。また、死者年月を経るにしたがって忘れられていく。

[使用例] あくまで意地を張っているうちに、去る者は日に疎し、於菊のところに全く足を遠ざけておりました[井伏鱒二駅前旅館|1956~57]

[解説] 「文選―古詩十九首・一四」「去る者は日に以て疎し、生くる者は日に以て親し」によることば。英語のことわざ、Out of sight, out of mind.の定訳にもなっていますが、英語の場合は人間にかぎらず、物についても用いられます。

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