手を取る(読み)てをとる

精選版 日本国語大辞典 「手を取る」の意味・読み・例文・類語

て【手】 を 取(と)

① 手と手をたずさえあう。他人の手をにぎる。また、手をひく。
※古事記(712)下・歌謡「梯立の 倉梯山を 嶮(さが)しみと 岩懸(か)きかねて 我が弖登良(テトラ)すも」
怪談牡丹燈籠(1884)〈三遊亭円朝〉一五「お国と共に手を取って忍び出様(いでやう)とする処を」
② 親切・丁寧に教え導く。
源氏(1001‐14頃)若菜下「てをとるとる、おぼつかなからぬ、物の師なりかし」
③ 手引きをする。
※三河物語(1626頃)三「信玄上方御手を取衆之おおくありければ」
④ まごまごする。どうしたらよいか途方にくれる。しくじる。相手にたち遅れて失敗する。
※天理本狂言・麻生(室町末‐近世初)「うるしが少ひいで、手を取によって、此ごとくに竹にはさうでおひた」
⑤ 手向かいする。反抗する。
梅津政景日記‐慶長一七年(1612)四月二六日「若手を取候はは、成敗致候へと申付候」
⑥ わざを用いる。
随筆独寝(1724頃)上「相撲とりにも、大ずまふといはるるすまふに、手をとるはなし」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「手を取る」の意味・読み・例文・類語

・る

親愛の気持ちなどを表すために他人の手を握る。「―・って何度も礼を述べる」
親切に教え導くようすにいう。「初歩から―・って教え込む」
[類語]助言教示訓示アドバイスコンサルティングカウンセリング指導導き教え手引き指南教授教育訓育教導補導ほどう善導誘掖ゆうえき鞭撻べんたつ手ほどき教習コーチ伝授する講義する講ずる仕込むたたき込む育てる導く仕付ける教鞭を執る薫育教化教学文教育英教えるガイダンス示教指教徳育知育体育矯正薫陶入れ知恵洗脳感化徳化醇化啓発啓蒙

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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