砂嘴(読み)さし

精選版 日本国語大辞典 「砂嘴」の意味・読み・例文・類語

さ‐し【砂嘴】

〘名〙 沿岸流によって運ばれた砂や小石が入り江の一方の端から海中に細長く堤状に堆積(たいせき)してできた地形北海道根室支庁の野付崎静岡県三保松原など。しゃし。
※鈍鉄集(1331頃)箱崎蚕市「行尽松陰沙觜路、路頭尽処到江湄」 〔皇甫松‐浪淘沙詞〕

しゃ‐し【砂嘴】

〘名〙 =さし(砂嘴)

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デジタル大辞泉 「砂嘴」の意味・読み・例文・類語

さ‐し【砂×嘴】

海中に細長く突き出た地形。半島や岬の地形の入り込んだ部分に、沿岸流によって運ばれた砂礫されき堆積たいせきして形成される。しゃし。

しゃ‐し【砂×嘴】

さし(砂嘴)

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百科事典マイペディア 「砂嘴」の意味・わかりやすい解説

砂嘴【さし】

沿岸流により運ばれた砂礫(されき)が陸地から海中にのびる形で堆積し水面に現れたもの。多少湾内に湾曲した形の鉤(こう)状砂嘴(伊豆半島西岸の戸田湾口)や,発達途中で成長方向が変わって枝分れした分岐砂嘴(北海道の野付崎)などがあり,成長先端がはっきりしている点で砂州と区別される。
→関連項目海岸地形名蔵アンパル野付半島

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「砂嘴」の意味・わかりやすい解説

砂嘴
さし

岬や半島などの陸地から細長く海に突き出している砂礫(されき)の堆積(たいせき)地形で、対岸の陸地や島にまでは到達するに至っていないものをいう。対岸と連結しているものが砂州である。相反する方向からの沿岸流の働きによって突出した砂嘴は、三角形状の砂浜を形成することがあり、これを尖角岬(せんかくみさき)または尖角州という。東京湾の富津州(ふっつのす)はその事例にあたる。イギリスのドーバー海峡に面したダンジネス岬は巨大な尖角岬である。

 一方向からの沿岸流が卓越する場合においては、砂嘴の先端部付近が陸側に曲がる傾向があり、これを鉤状砂嘴(こうじょうさし)という。砂嘴への砂礫の供給が増減したり、波や沿岸流が変化すると、先端部が何本も分岐し、複合鉤状砂嘴または分岐砂嘴とよぶ地形となる。北海道の野付(のつけ)崎は分岐砂嘴の好例である。

[豊島吉則]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「砂嘴」の意味・わかりやすい解説

砂嘴
さし
sand spit

半島や岬に続く砂の堆積によってでき,海に突き出た低平な細長い堆積地形。海岸線が屈曲していて,一方の海岸から砂が運ばれると,砂の堆積部分が海面上に現れる。鳥のくちばし (嘴) のような形を呈することが多いので砂嘴という。砂嘴の先端の内側が小さく分岐したものを分岐砂嘴という。静岡県清水港の三保,北海道根室海峡の野付崎などは分岐砂嘴の好例である。

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普及版 字通 「砂嘴」の読み・字形・画数・意味

【砂嘴】さし

すさき。

字通「砂」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の砂嘴の言及

【海岸】より

…海食崖や河口から岸に沿う流れ(沿汀流)によって運搬される砂礫は,岬の先端や海岸の突出部から延びて,水面上に現れた砂礫の細長い高まり(州)をつくる。州の一端が陸地に接しているものを砂嘴(さし)spitとよび,北海道の野付崎や静岡の三保半島が代表的である。その先端が岸の方向に曲がっていることが多く,また先端が何列かに分かれた分岐砂嘴もある。…

【砂州】より

…岬や湾の出口などの海岸の突出部から,細長く突き出るように延びている砂礫(されき)の細長い高まりを砂嘴(さし)spitといい,砂嘴がさらにのびて湾の対岸や陸地に接するようになった地形を砂州という。海に流入する河川が運搬してきた砂礫や海食崖から生産された砂礫の一部は,沿岸流や沿汀流によって海岸線に沿って運搬され,湾口や陸側にへこんだ海岸に達すると湾口をふさぐような形で堆積して細長く発達する。…

【岬】より

…成因としては,山稜が沈水した場合や,硬い岩石からなるため波の浸食に抗して形成される場合が多い。また砂の堆積で突出する砂嘴(さし)の岬もある。瀬戸内海の岬の多くは沈水山稜タイプであり,太平洋に突出する犬吠埼(いぬぼうさき),伊良湖岬(いらごみさき)などは硬岩タイプである。…

※「砂嘴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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