自由意志論(読み)じゆういしろん(英語表記)De libero arbitrio

精選版 日本国語大辞典 「自由意志論」の意味・読み・例文・類語

じゆういし‐ろん ジイウイシ‥【自由意志論】

〘名〙 行動をする場合に、人間意志が自発的に行動を決定すると考える理論。外からの影響をうけないで、人間の動機性格が行動を決めるとする説、動機や性格とは違った自我が決めるとする説、動機や性格、自我を越えた理性が決定するとする説などがある。⇔決定論。〔哲学字彙(1881)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自由意志論」の意味・わかりやすい解説

自由意志論
じゆういしろん
De libero arbitrio

オランダの人文学者デシデリウス・エラスムス著書。 1524年刊。人間が真面目な意志によって善行を積み一歩一歩道徳的に向上しうると確信していたエラスムスは,「信仰によってのみ」救われるというルターの説が人間の一切の善の試みを無に帰し,ついには神は不正であるとの観念にいたらしめ絶望へと導くものであるとして,人間の自由意志を擁護すべく『自由意志論』を著わして,宗教改革運動に批判的な態度を示した。ルターは翌年『不自由意志論 (奴隷意志論) 』 De servo arbitrioを書いて反論し,エラスムスら人文主義者と決別した。なおエラスムスは 26年"Hyperaspistēs"を著わして再び反論を加えた。

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