デジタル大辞泉
「頻」の意味・読み・例文・類語
しき【▽頻】
[語素]《動詞「し(頻)く」の連用形から》名詞や動詞の連用形の上に付いて、それが何度も繰り返される意を表す。「頻浪」「頻鳴く」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
しきり【頻】
〘形動〙 (動詞「しきる(頻)」の連用形から。
助詞「と」を伴うこともある。→
しきりと)
① 同じ事が何度も重なるさま。さかんにつづくさま。重ねて。たびたび。しばしば。ひっきりなし。
※
書紀(720)皇極三年正月(岩崎本平安中期訓)「中臣の鎌子の連を以て
神祇の伯
(かみ)に拝
(め)す。再三
(シキリ)に
固辞(いなひ)てつかむまつらず」
※栄花(1028‐92頃)浦々の別「今日とくとくと宣旨しきり也」
※近世紀聞(1875‐81)〈
染崎延房〉九「注進頻
(シキ)りなるをもて」
②
物事の程度や、感情、
熱意などの度合が強いさま。むやみ。熱心だ。
※
今昔(1120頃か)三一「彼の女の許に構て行ばやと切
(しきり)に思けるを」
※
平家(13C前)二「
此土(ど)の人にも似ず。〈略〉身には頻に毛おひつつ」
※俳諧・曠野(1689)七「
父母のしきりに恋し
雉子の声〈
芭蕉〉」
し・く【頻】
〘自カ四〙
動作がしばしば繰り返される。たび重なる。しきりに…する。しきる。
① ひっきりなしに…する。また、
一面に…する。多く
補助動詞のように用いる。
※
万葉(8C後)一八・四〇九三「英遠
(あを)の浦に寄する
白波いや増しに立ち之伎
(シキ)寄せ来
(く)東風
(あゆ)をいたみかも」
※
古今(905‐914)雑下・九四六「しりにけんききてもいとへ世の中は浪のさわぎに風ぞしくめる〈布留今道〉」
② 波があとからあとから寄せる。
※万葉(8C後)一一・二七三五「
住吉(すみのえ)の岸の浦回
(うらみ)に布
(しく)浪
(なみ)のしくしく妹を見むよしもがも」
※万葉(8C後)三・二六一「やすみ
しし 吾が大君 高照らす 日の
皇子 茂
(しき)座
(いま)す 大殿の上
(うへ)に」
しき・る【頻】
〘自ラ四〙
① 同じ事が何度も続いて起こる。たび重なる。しげくなる。
※書紀(720)天武元年七月(北野本訓)「時に勇士来目(くめ)といふ者有りて、刀を抜きて急に馳せて、直に軍の中に入る。騎士(むまいくさ)継踵(シキリ)て進む」
※万葉(8C後)六・九三七「ゆきめぐり見ともあかめや名寸隅(なきすみ)の舟瀬の浜に四寸流(シきル)白浪」
② 産気づいて痛みがたび重なる。陣(しきり)がくる。
※平家(13C前)三「中宮はひまなくしきらせ給ふばかりにて、御産もとみに成やらず」
③ (動詞の連用形に付いて補助動詞的に用いる) さかんに…する。しばしば続く。しげくなる。
※和英語林集成(初版)(1867)「アメ ガ フリ shikiru(シキル)」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報