立体的に表示される、三次元映像の映画。3Dとは、英語のThree DimensionsあるいはThree Dimensionalの略記で三次元を意味する。人間は左右の目の間隔差による映像の違いを認識して、奥行などの空間を把握する。3D映画などの立体的に見せる立体視の基本も、この原理を利用したものである。左右の目それぞれに別々の画像情報を流すことで、いわば錯覚的に立体感を出す仕組みになっている。
古くは赤と青のセロファンフィルムを貼(は)った眼鏡をかけ、それぞれの補色で撮影したフィルムを見るアナグリフを使った映画などがあった。これらの時代は基本的にアナログ技術中心であったが、デジタル技術の革新により、より鮮明な3D映像がつくれるようになってきた。
3D映像を大別すると、専用眼鏡をかける眼鏡式と、専用眼鏡がいらない裸眼式があるが、3D映画の場合は眼鏡式が主流となっている。3D映画の映写方式としてはRealD(リアルディー)、XpanD(エクスパンド)、Dolby3D(ドルビースリーディー)、IMAX(アイマックス)などがあり、それぞれの映画館ごとに採用しているシステムが違う。
技術的には、(1)眼鏡の偏光フィルターを通すことで左右の映像を分離する方式、(2)眼鏡側にシャッターをつけて超高速で左右交互に開閉させ、さらに映像側ではそれにあわせて左右の映像を交互に流してリンクさせることで左右別々の映像を見せる方式、(3)左右別々にRGB3原色の映像をつくって上映して、眼鏡側でそれをフィルタリングすることで最終的に別々の映像になる方式などがある。それぞれの方式によって、見え方にも特徴がある。なお、もととなる映画のデータは同じで、それぞれの方式にコンバートしながら上映されている。
[編集部]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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