5音音階(読み)ごおんおんかい

改訂新版 世界大百科事典 「5音音階」の意味・わかりやすい解説

5音音階 (ごおんおんかい)

1オクターブの音域に対して五つの音をもつ音階総称ペンタトニック・スケールpentatonic scaleの訳語。東アジアでは古代中国以来,五声(宮・商・角・徴・羽)という用語で知られるドレミソラの音階が理論的に基本とされる。この音階は長音階の第4音と第7音が欠けているという理由で〈ヨナ抜き音階〉とも呼ばれるが,西洋中心の便宜的な俗称にすぎない。しかもこの半音なしのいわゆる陽音階田舎節(いなかぶし))が5音音階の代表として一つのものと考えられがちであるが,いくつかのタイプが区別され,アジア各地,ヨーロッパ周辺部,アメリカ・インディアン等の音楽の特徴となっている。これらとは別に,半音に近い音程を含むいわゆる陰音階都節(みやこぶし))の系統も重要であり,たとえばドミファソシと置き換えられる琉球音階,それとよく似たインドネシアのペロッグなどがある。さらに,全音・半音の枠をこえて1オクターブをほぼ5等分したスレンドロ系統の音階が東南アジアで重要である。
音階
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百科事典マイペディア 「5音音階」の意味・わかりやすい解説

5音音階【ごおんおんかい】

音階が5音からなるもの。ペンタトニック・スケールpentatonic scaleの訳語。世界各地にみられ,日本の都節音階民謡音階律音階などもこれにあたる。
→関連項目音階

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「5音音階」の意味・わかりやすい解説

5音音階
ごおんおんかい
pentatonic scale

音楽用語。1オクターブのなかに,5つの異なる音を含む音階。5音の配列法により,種類もきわめて多い。3つの全音程と2つの短3度によってできる全音階的5音音階が最も一般的であるが,このほかに半音程を含む半音階的な5音音階などがある。5音音階は日本,中国,朝鮮をはじめ,アフリカ,ポリネシアなどに多く分布している。

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世界大百科事典(旧版)内の5音音階の言及

【音階】より

…バッハその他によって19世紀末から20世紀にかけて試みられている4分音や6分音(全音を4等分または6等分したもの)など,半音よりさらに狭い音程を含む音階は微分音階と呼ばれる。そのほかヨーロッパの諸民族にはなおいろいろの音階があるが,スコットランドなどにみられる5音音階(ペンタトニックpentatonic,図7)や増音程によって特性のあるジプシー音階(図8)は,芸術音楽にも取り入れられている。音律[西洋]【渡 鏡子】
【東洋】

[音階にあたる用語]
 諸民族それぞれの伝統にしたがって多種多様の音階が用いられており,東洋諸国の大部分ではそれを体系化しようとする理論を持っている。…

※「5音音階」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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