50℃洗い(読み)ごじゅうどあらい

知恵蔵 「50℃洗い」の解説

50℃洗い

野菜や肉などの食材を50℃の湯で洗うことにより、食材の細胞酵素を活性化させる調理法。この方法により、しんなりした野菜がシャキッとみずみずしくなり、魚や肉の生臭さが取れ、色もよくなり、汚れもきれいに落ちるという。スチーミング調理技術研究会の平山一政代表が考案し、テレビなどで紹介されて注目を集めている。
平山代表は、スチーム加熱調理を研究する中で、野菜が最もおいしくなる温度調べ、50℃前後で最も鮮度が保持される現象に気づいたという。あくや生臭みを作る成分は比較的低温で蒸発放散し、おいしい香りの成分はやや高い温度で保持されることが分かり、50℃の熱ショックで野菜表面の気孔が開き、細胞に水分が吸収されてみずみずしさが戻る。野菜だけでなく、果物や肉、魚にも適用でき、洗ったり漬けたりするのに適した時間は食材ごとに異なる。
この方法がテレビなどで紹介されると、料理人たちからも反響があり、各地で実践の取り組みがあったほか、『50℃洗い 人も野菜も若返る』(平山一政著、文藝春秋)、『だれでも簡単、すぐできる!50℃洗い 驚異の調理法とおいしいレシピ』(タカコ・ナカムラ著/平山一政監修、実業之日本社)、『本当に大切にしたい日本のごはん:50度洗いと低温調理のススメ』(中川誼美著、WAVE出版)など、関連する書籍の出版が相次いだ。なお、「50℃洗い」は、2012年の「ユーキャン新語・流行語大賞」の候補にもなった。

(原田英美  ライター / 2012年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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