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アメリカ預託証券American depositary receiptsの略称。アメリカの証券市場において外国株式が取り扱われる際に用いられる外国株式原株の代替証券。一般に,ある国の市場において外国株式を発行・流通させるには問題点がきわめて多い。原株券を本国から搬送・返還させるうえでのリスク,株券文言が外国語であることから記載内容が十分理解されないこと,株券の真贋(しんがん)判別が困難であること,紛失・盗難時の新株交付にともなう問題,その他慣習・制度の相違からくる種々の問題点である。こうした難点を解決すべく考案されたのがこの預託証券(DR)方式である。1927年アメリカのモルガン・ギャランティ・トラスト社が初めてこの方式を採用しADRを発行した。仕組みは,外国の原株式を発行国の銀行(副受託機関)に預託し,それを見返りにアメリカの銀行(受託機関)が預託証券を発行するというものである。受託機関はその預託証券上に本国原株式の保管義務を明記しているほか,配当受取り等株式保有にともなう諸権利をアメリカの投資家に代わって取り次ぐ等預託契約を明記している。投資家はこの預託証券を原株同様売買できるわけである。預託証券は,本国の発行企業が新株を発行するのと見返りに発行される場合と,すでにアメリカ内で取得されている原株式を見返りに発行される場合の2通りがある。前者の場合は,アメリカにおける新規資金調達が目的とされるため,証券取引委員会(SEC)への登録が必要とされ,アメリカの公認会計士監査,連結財務諸表の作成などが義務づけられている。後者の場合,アメリカの受託機関が発行会社の了承を得ることなく自由に発行することができる。日本の企業では1961年6月ソニーがアメリカでの新規資金調達を目的にADR発行を行ったのが最初であるが,以後増加している。なおADRと同じ方式でヨーロッパで発行される預託証券をEDR(ヨーロッパ預託証券),ドイツで発行されるものをGBC(ドイツ無記名証書,Global Bearer Certificate),オランダ領キュラソーのものをCDRという。
執筆者:飯尾 博信
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(市川美亜子 朝日新聞記者 / 2008年)
「裁判外紛争処理」のページをご覧ください。
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