精選版 日本国語大辞典 「朱印」の意味・読み・例文・類語
しゅ‐いん【朱印】
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朱肉を使っておす印。黒印と対応して使われる。歴史的には朱印が正式とされ,略式の黒印より優位にあって,庶民階級は明治以降はじめて朱印の使用を公認された。古代の黒印は蔵書印にのみ見えるが,これは二次的な印章としての使い方である。しかし,中世前期には一次的な印章たる黒印として花押を版刻した花押印が便宜的略式印として文書に使われはじめた。それはその印の使用主が事故によって花押がかけない場合か,または請取状のように多量の同一文書を発給する場合である。中世後期には略式の黒印が多くなるが,朱印はのちに近世に入っても正式とされ,庶民用の黒印に対して上層階級の印章として使われた。明治維新に至って1868年(明治1)9月から庶民用も朱印に変わるが,黒印は略印としてひきつづき使われた。なお,絵画などの落款(らつかん)の印は朱印以外は使われることがない。
→印章
執筆者:荻野 三七彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
文書に朱色の印肉を使って押した印。古代の官印はすべて朱印であったが,戦国大名もさかんに朱印を使用した。駿河国の今川義元の「如律令」を円で囲んだ印,相模国の北条氏の「禄寿応穏」を方形で囲み上部に虎をつけた印,甲斐国の武田氏の竜を円で囲んだ印,織田信長の「天下布武」を楕円で囲んだ印などが知られる。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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