朱彝尊(読み)しゅいそん(英語表記)Zhū Yí zūn

精選版 日本国語大辞典 「朱彝尊」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐いそん【朱彝尊】

中国、清初の文学者。字(あざな)は錫鬯(せきちょう)。号は竹坨(ちくだ)。浙江秀水の人。翰林院(かんりんいん)検討となり「明史」の編纂参加した。詩文経学にすぐれ、著に「曝書亭集」「詞綜」「経義考」などがある。(一六二九‐一七〇九

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デジタル大辞泉 「朱彝尊」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐いそん【朱彝尊】

[1629~1709]中国、初の文学者考証学者。秀水(浙江せっこう省)の人。あざな錫鬯せきちょう。号は竹坨ちくだ。経学と史学の考証に通じ、「明史」の編纂へんさんに参加。著「経義考」「ばく書亭集」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「朱彝尊」の意味・わかりやすい解説

朱彝尊 (しゅいそん)
Zhū Yí zūn
生没年:1629-1709

中国,清初の学者,詩人。字は錫鬯(せきちよう),号は竹垞(ちくだ)。浙江省秀水(嘉興県)の人。若くしてその詩は呉偉業王士禎に賞せられ,学問は顧炎武,閻若璩らの敬意を受けている。広東をはじめ全土に及ぶ旅行にも《十三経》《廿一史》をたずさえ,著述に努めた。51歳の1679年(康煕18)に行われた博学鴻詞科に挙げられ,翰林院検討として《明史》の編纂に参与し,ついで日講起居注官,江南郷試の副考官を務め,61歳で致仕して著述に専念した。著には,歴代経営の書の沿革存亡を明らかにした《経義考》300巻,北京の故実を語る《日下旧聞》42巻がある。詩は学力にものをいわせた長編を自在に作り,艶体の作もある。詞は清詞の主流である浙派開祖とされる。明詩の選集明詩綜》100巻を編み,彼の〈静志居詩話〉を詩人小伝のあとに分付する。唐・宋・金・元の詞を選んだ《詞綜》34巻は選録の精確さをもって知られる。その詩文および詞をみずから編した《曝書亭集》80巻がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「朱彝尊」の意味・わかりやすい解説

朱彝尊
しゅいそん
Zhu Yi-zun

[生]崇禎2(1629)
[没]康煕48(1709)
中国,清の文学者。浙江省秀水 (嘉興県) の人。字,錫鬯 (しゃくちょう) 。号,竹だ (ちくだ) 。初め仕官せず各地を遍歴しつつ学問に励み,のち翰林院検討として『明史』編纂に従事,康煕 31 (1692) 年辞職して帰郷し,余生を著述と自適とに過した。大著『経義考』 (300巻) は,歴代の経書の沿革存亡を記したもの。詩は気骨ある風格で,長編の佳作があり,王士禎と「南朱北王」と並称された。詞は南宋の姜 夔 (きょうき) ,張炎を宗とすべきことを説き,『詞綜』を編んで新しい詞の指針とした。いわゆる浙西詞派の祖であり,巧みな修辞と用典で,詠物詞にすぐれ,陽羨派の陳維 崧 (ちんいすう) の詞と合刻した『朱陳村詞』は当時広く流布した。詩文集『曝書亭 (ばくしょてい) 集』 (80巻) のほか,北京の歴史,地理を記した『日下旧聞』,明詩の選集『明詩綜』などの編著がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「朱彝尊」の意味・わかりやすい解説

朱彝尊
しゅいそん
(1629―1709)

中国、明(みん)末清(しん)初の文人、学者。字(あざな)は錫鬯(せきちょう)。号は竹坨(ちくだ)。16歳で明の滅亡にあい、以後清朝に仕えず、在野の学者、詩人として名が高かったが、康煕帝(こうきてい)が知識人懐柔策として博学鴻詞(こうし)科を設けた際、51歳で召しに応じて翰林院(かんりんいん)に入り明史編纂(へんさん)官に任ぜられたことは有名。まもなく官を辞し、以後郷里で著述に専心。『経義(けいぎ)考』300巻その他を著す。詩、文ともに当代一流の名あり、広い学力を駆使した詩は王士禎(おうしてい)と並び称され、詞は南宋(なんそう)を尊び浙西(せっせい)派の祖とされる。『曝書亭(ばくしょてい)集』80巻。編著に『明詩綜(みんしそう)』『詞綜』など。

[伊藤虎丸 2016年3月18日]

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百科事典マイペディア 「朱彝尊」の意味・わかりやすい解説

朱彝尊【しゅいそん】

中国,清初の学者,詩人。1679年博学鴻詞科に挙げられ,翰林院検討に任官,《明史》の編纂(へんさん)に参画,92年退官。学者として《経義考》300巻で経書に関する諸説,沿革等を記述した。詩人としては王士禎(おうしてい)に次ぐ大家で,は清詞の主流である浙派の祖とされる。《明詩綜(みんしそう)》100巻で明詩を集成,評論した。

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世界大百科事典(旧版)内の朱彝尊の言及

【金石学】より

…宋の石刻の学は,北宋末の趙明誠《金石録》30巻,南宋洪适(こうかつ)の《隷釈》27巻,《隷続》21巻と続く。金文と同様に研究の次の頂点は清代で,顧炎武《金石文字記》6巻,朱彝尊(しゆいそん)《金石文字跋尾》6巻がその口火を切った。 石刻研究は,石刻と歴史文献との差異を考証する方向と,文字を書法,芸術作品として扱う方向に大別される。…

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