DGB(読み)ディージービー

デジタル大辞泉 「DGB」の意味・読み・例文・類語

ディー‐ジー‐ビー【DGB】[Deutscher Gewerkschaftsbund]

《〈ドイツDeutscher Gewerkschaftsbund》⇒デー‐ゲー‐ベー(DGB)

デー‐ゲー‐べー【DGB】[Deutscher Gewerkschaftsbund]

《〈ドイツ〉Deutscher Gewerkschaftsbundドイツ労働総同盟。ドイツ最大の労働組合組織。1949年設立。

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改訂新版 世界大百科事典 「DGB」の意味・わかりやすい解説

DGB (デーゲーベー)

正称はドイツ労働総同盟Der Deutsche Gewerkschaftsbund。ドイツ最大の労働組合中央組織(ナショナル・センター)。第2次大戦後,西側の英米仏3国のそれぞれの占領地域で別個に結成された労働組合の連合体は,東西ドイツ分離国家成立直後の1949年10月にミュンヘンで大会を開き,それらを統一した西ドイツの全国組織を創立した。これがDGBである。DGBは,金属化学鉱山,印刷,鉄道,公務運輸・交通,商業・銀行など16の産業別組合が加盟する連合体であって,創立当時の組合員数は約528万人,初代議長にはH.ベックラーが選ばれた。ごく最近,警察官組合が加盟し,参加組合数は17となったが,大産業別組合主義を組織原則としている点は創立以来変わっていない。この点で,より中央集権的な組織原則をとったワイマール期のドイツ労働組合総同盟ADGB(Allgemeiner Deutscher Gewerkschaftsbund,1919創立)と異なる。また,ワイマール期の組合が政党の政治路線や宗教,現業労働者・職員・公務員の違いによって別個の全国組合を結成していたのに対して,DGBはこれらの相違を超えて一つのセンターのもとに結束するという組織原則をとった。とくにナチスによる労働運動敗北の体験に基づき,労働組合の政党からの独立という原則が強調された。このためキリスト教民主同盟CDU)の党員も多数参加している。DGBとは別個にドイツ職員組合(DAG),公務組合(DBB),キリスト教組合(CGB)などの全国組合が併存しているが,それらはDGBに比べるとはるかに小規模にとどまっている。DGBは全組織労働者の圧倒的多数を擁しており,事実上,ドイツを代表する中央組織であるといってよい。

 1949年の基本綱領では共同決定制とともに基幹産業の公有化,計画経済の三大方針を柱とする戦略をかかげ,50-51年の共同決定制をめぐる闘争ではスト権を背景にアデナウアー政権と激しく抗争し,鉄鋼・石炭業における共同決定制の法制化に成功した(〈共同決定法〉の項参照)。しかし翌年の経営組織法をめぐる闘争では敗北し,53年の総選挙で与党が圧勝するに及んで,従来の路線を修正し,労働時間の短縮,賃金の引上げなど日常的要求に重点をおく行動綱領(1955)を決めた。63年には基本綱領を改正し,〈社会的市場経済〉を前提にした現実的路線を打ち出した。これは社会民主党(SPD)が1959年に階級政党から国民政党へ転換するバート・ゴーデスベルク綱領を採択したのに呼応するものであった。こうして60年代末まで協調主義路線をとり,組合員数も絶対数では増加したものの,急増しつつある職員や婦人・青年層を組織できず,組織率は創立時の35.9%から29.7%(1969)まで長期的な低下傾向をみた。だが1960年代末以降,社会民主党の政権獲得,積極的な政策への路線の修正,未組織分野の組織化努力などにより,組織率は若干改善されてきている。89年現在,組合員数は964万人,組織率は42%である。81年には新基本綱領を採択したが,これは従来の国家を通しての政策実現の姿勢に代わり労働組合組織自体の能力と独自性を強調している。また経済危機や時代の変化を反映して職場の確保と創出,〈労働の人間化〉,被用者の権利の強化を主張する一方,エネルギー政策や環境保護政策にエコロジー的観点を考慮した新しい動きがみられる。81年現在,DGB幹部の82%はSPDの党員であり,また12%はCDUの党員といわれ,SPDとDGBとの密接な関係は否めない。1990年10月に東西ドイツが統合した。かつて東ドイツにはFDGB(自由ドイツ労働総同盟)が存在したが,統一後は解体された。DGBは旧東ドイツでの組織化につとめており,次第に組合員数を増やしている。
執筆者:

DGB (ディージービー)

DGB(デーゲーベー)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「DGB」の意味・わかりやすい解説

DGB
でーげーべー

ドイツ労働総同盟

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「DGB」の意味・わかりやすい解説

DGB
デーゲーベー

ドイツ労働総同盟」のページをご覧ください。

DGB
ディージービー

ドイツ労働総同盟」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のDGBの言及

【DGB】より

…第2次大戦後,西側の英米仏3国のそれぞれの占領地域で別個に結成された労働組合の連合体は,東西ドイツ分離国家成立直後の1949年10月にミュンヘンで大会を開き,それらを統一した西ドイツの全国組織を創立した。これがDGBである。DGBは,金属,化学,鉱山,印刷,鉄道,公務・運輸・交通,商業・銀行など16の産業別組合が加盟する連合体であって,創立当時の組合員数は約528万人,初代議長にはH.ベックラーが選ばれた。…

【キリスト教労働組合】より

…99年にはプロテスタント系組合と合同してドイツ・キリスト教労働組合連盟が結成され,第1次大戦直前には組合員35万人,戦後の1920年には100万人に達した。第2次大戦後の労働組合運動再建には,戦線を統一してドイツ労働総同盟(DGB(デーゲーベー))が結成され,55年にザール地区を中心に勢力を盛り返したが,現在も少数派にとどまっている。フランスでは,有力なフランス・キリスト教労働総同盟(CFTC,1919設立)が64年に〈組織の世俗化〉をめざしてフランス民主労働総同盟(CFDT(セーエフデーテー))と改名し(一部はそのまま残った),その組織と行動力を高め,77年には旧キリスト教系の国際労連(WCL)と手を切るに至った。…

※「DGB」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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