エネルギーミックス(読み)えねるぎーみっくす(英語表記)Energy Mix

デジタル大辞泉 「エネルギーミックス」の意味・読み・例文・類語

エネルギー‐ミックス

energy mixから》⇒電源構成

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エネルギーミックス」の意味・わかりやすい解説

エネルギーミックス
えねるぎーみっくす
energy mix

一般的には、ある国や主体にとってのエネルギー供給構造のことをさし、各エネルギー源がどのようなシェアで全体を構成するかを示すもの。一次エネルギー構成が電源構成を示す場合がある。日本ではエネルギー基本計画において、政策的に目ざすべきエネルギーの将来像を示すため、特定目標年次における電源構成や一次エネルギー構成を政策目標として示すことが多く、その供給構造をさしてエネルギーミックスとよぶ場合もある。

 2018年(平成30)に閣議決定された第5次エネルギー基本計画では、2030年にエネルギー自給率を25%に引き上げ、同年の温室効果ガス排出を2013年度比で26%削減し、電力コストを引き下げる、という三つの目標を達成するため、2030年の電源構成を、再生可能エネルギー22~24%、原子力20~22%、LNG液化天然ガス)27%、石炭26%等とするエネルギーミックス目標を策定し、その実現を目ざすとした。2021年(令和3)に閣議決定された第6次エネルギー基本計画では、2030年の温室効果ガス排出削減目標を46%減と引き上げたため、その実現のために同年の電源構成を再生可能エネルギー36~38%、原子力20~22%、LNG20%、石炭19%、水素・アンモニア1%等とする目標を掲げている。

 ただし、この政策としてあるべき姿を描いたエネルギーミックスを実現することは容易ではない。再生可能エネルギーの増加の中心とされる太陽光発電適地に限りがあり、コスト高となる可能性があること、原子力については再稼働が順調に進むか不確実であり、目標達成のためには運転期間の延長を原子力規制委員会が許可することが必要なこと、などそれぞれのエネルギー源ごとに課題が山積している。

小山 堅 2022年1月21日]

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知恵蔵mini 「エネルギーミックス」の解説

エネルギーミックス

特定の発電源に偏らず、複数の発電方式をバランスよく組み合わせ、安定して電気を作ること。日本は1970年代より石油火力を主要な発電方式としてきたが、オイルショックを機に脱石油と発電源の多様化を推進。1990年代以降はCO2の排出抑制も重要な課題とされ、2010年には石油火力、水力、原子力など各発電源をバランスよく組み合わせた構成となった。11年に福島第一原子力発電所の事故が発生して以降は、環境保全、安定供給、経済性を同時に達成することが重視され、経済産業省が将来のエネルギー構成についての議論を続けている。15年現在、同省は30年のエネルギーミックスについて、原子力発電の比率を原発事故前よりも低くし、太陽光など再生可能エネルギーによる発電比率を引き上げる方針を明らかにしている。

(2015-4-27)

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