M★A★S★H(読み)まっしゅ(英語表記)M*A*S*H

日本大百科全書(ニッポニカ) 「M★A★S★H」の意味・わかりやすい解説

M★A★S★H
まっしゅ
M*A*S*H

アメリカ映画。監督ロバート・アルトマン。1970年作品。物語形式など戦争映画という既存ジャンルの枠組みにとどまりながらも、随所にヨーロッパのアート・シネマのような監督の個性あふれる斬新(ざんしん)な映像表現が提示される、ハリウッド版アート・シネマ作品。主役二人の従軍医師が任務に着くところで始まり、ランダムなエピソードの積み重ねが続き、任務が終了するところで終わるが、二人が去った後も現場の従軍医療は救命行為を続けていく循環的な物語構造。まるで観客が切り取られた現実世界の一片をかいまみるかのような、リアリスティックな物語構成。徹底したズームアップショットとパンカメラワーク(カメラを水平方向に左右に振る)が連続的に行われ、至る所で俳優が即興的な動きで演じ、次から次へと観客の視点を誘っていく撮影技法。会話や生活音など、音を使ったモンタージュの技法。これらの映画様式と技法は、現代の医療や科学捜査を扱ったテレビドラマではあたりまえのように使われている。若者観客層に向けてつくられた“youthpix”(若者向け映画)としても興行的成功を収めた作品。1970年、アカデミー脚色賞受賞。1970年(昭和45)日本公開。

[堤龍一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android