MEK阻害剤(読み)メックソガイザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「MEK阻害剤」の解説

MEK阻害剤

製品名
《トラメチニブジメチルスルホキシド付加物製剤》
メキニスト(ノバルティスファーマ)
《ビニメチニブ製剤》
メクトビ(小野薬品工業

 MEKは、正常細胞やさまざまなガン細胞の分化増殖において重要なシグナル伝達経路のひとつです。MEK阻害剤は、ガンの進行時にシグナル伝達経路のMEK1とMEK2の活性化を阻害してガン細胞増殖などを抑制し、抗腫瘍作用を発揮すると考えられています。


 BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫の治療に用います。トラメチニブジメチルスルホキシド付加物製剤ダブラフェニブメシル酸塩製剤と、ビニメチニブ製剤エンコラフェニブ製剤併用します。


①心障害、肝機能障害、横紋筋融解症、さらにトラメチニブジメチルスルホキシド付加物製剤で、間質性肺疾患、深部静脈血栓症、脳血管障害が、ビニメチニブ製剤で、網膜障害などの眼障害、高血圧、高血圧クリーゼ、消化管出血などの出血が現れることがあります。このような症状が現れたときは、使用を中止して、すぐに医師に報告してください。


下痢吐き気嘔吐発疹ほっしん疲労発熱のほか、トラメチニブジメチルスルホキシド付加物製剤では、口内乾燥、むくみ、ダブラフェニブメシル酸塩製剤との併用で、関節痛、筋肉痛、腎障害、食欲減退、インフルエンザ様疾患などが現れることがあります。ビニメチニブ製剤では、貧血、視力障害、霧視、浮動性めまい、関節痛、筋肉痛などが現れることがあります。このような症状が現れたときは、医師に相談してください。


錠剤です。トラメチニブジメチルスルホキシド付加物製剤は1日1回、ダブラフェニブメシル酸塩製剤と併用して服用します。使用にあたっては食事の影響を避けるため、食事の1時間以上前、または食後2時間以降に服用してください。ビニメチニブ製剤は1日2回、エンコラフェニブ製剤と併用します。副作用が現れた場合は、減量や休薬が必要となることがあるので医師の指示に従ってください。


②この薬の成分に過敏症のある人は使用できません。また、中等度以上の肝機能障害がある人、心疾患またはその病歴がある人、妊婦または妊娠している可能性がある人、母乳で授乳中の人は使用できないことがあります。


③網膜静脈閉塞、網膜色素上皮剥離、網膜剥離など重い眼障害が現れることがあるので、目に異常を見つけたときは、すぐ医療機関を受診してください。副作用を発見するために、指示された検査は必ず受けてください。


トラメチニブジメチルスルホキシド付加物製剤は、乾燥剤同封のもと容器で保管して、使用の都度、密栓してください。

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