引移(読み)ひきうつす

精選版 日本国語大辞典 「引移」の意味・読み・例文・類語

ひき‐うつ・す【引移】

〘他サ五(四)〙 (「ひき」は接頭語)
① 物や人を別の場所に動かす。移す。
※狐の裁判(1884)〈井上勤訳〉五「如かず彼の財宝所在を索め、之を他所運搬(ヒキウツ)して」
立場境遇などを変える。
※夜の寝覚(1045‐68頃)四「こよなうさだすぎ給へりし世のつねの人ざまに、ひきうつされ」
権限家督などのあり場所を変える。引き継がせる。
愚管抄(1220)六「男子をうませたりけるに、六に成ける。一万御前と云ける。それに皆家を引うつして」

ひき‐うつり【引移】

〘名〙
① 物や事柄が他に移ること。特に、住居居場所が他に移ること。引っ越し
※露団々(1889)〈幸田露伴〉一五「気のきいた僕を二人計り紳士の従者に添へて引移(ヒキウツ)りの手伝をさせろ」
② においや色が他の物にしみつくこと。また、そのにおいや色。
随筆独寝(1724頃)下「花の香といふ木をききたるに、少ししたるき引うつり有て」

ひき‐うつ・る【引移】

〘自ラ五(四)〙 (「ひき」は接頭語) 物の位置が他の場所に動く。特に、住所・居場所などが他に変わる。引っ越す。移転する。また、気持が他に移る場合にもいう。
※前田本夜の寝覚(1045‐68頃)中「しばし横目堪へがたかべきに、さすがにひたぶるにはひきうつるまじきを思ひやる」
人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)二「明暦三年元葭原(よしはら)今の地に引移(ヒキウツ)りし頃」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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