STAR欠損症

内科学 第10版の解説

STAR欠損症(副腎ステロイド合成異常症)

(1)STAR欠損症(STAR deficiency)
定義・概念
 ステロイド産生急性調節蛋白質(steroidogenic acute regulatory protein:STAR)は副腎皮質および性腺におけるステロイドホルモンの材料であるコレステロールをホルモン産生の場であるミトコンドリア内膜に運ぶ蛋白である.STAR欠損症はSTAR蛋白の欠損により引き起こされる疾患であり,STAR異常症あるいは先天性リポイド過形成症ともよばれる.STARを欠損することにより,副腎皮質ステロイドホルモン産生細胞におけるグルココルチコイドミネラルコルチコイド,副腎アンドロゲンすべての産生は低下する.
分類
 STARを完全に欠損する古典型,部分的に欠損する非古典型に分類される.
病因
 STAR遺伝子異常に起因する常染色体劣性遺伝病である.
病理
 ステロイドホルモン産生細胞の細胞質にコレステロールが沈着する.
臨床症状
 【⇨表12-6-13,図12-6-21,12-6-22】.
検査成績
 低ナトリウム血症,高カリウム血症,低血糖,代謝性アシドーシスをきたす.血中ACTHおよびレニン高値にもかかわらず,コルチゾール,アルドステロン,デヒドロエピアンドロステロンサルフェート(DHEA-S),およびすべての副腎ステロイドホルモン中間代謝産物(図12-6-20)は低値である.
診断
 上記の臨床症状,検査成績から疑い,遺伝子診断で確定する.
合併症
 46,XXの古典型STAR欠損症では,思春期年齢以降に卵巣に多囊胞性卵胞様の所見(図12-6-23)を呈し,早発閉経に至る.
治療
 内科的治療の基本はグルココルチコイドおよびミネラルコルチコイド投与である.外性器完全女性型を有する46,XY個体は法律上の性を女性として決定され,女性として養育される.その後腹腔内あるいは鼠径部に存在する精巣を摘出し,女性ホルモン補充療法を行う.[長谷川奉延]
■文献
税所純敬,横田一郎,他:新生児マススクリーニングで発見された先天性副腎過形成症(21-水酸化酵素欠損症)の診断の手引き(1999年改訂).日児誌,103: 695-697, 1999.
柳瀬敏彦:厚生労働省「副腎ホルモン産生異常に関する調査研究班」の研究概要紹介―疫学研究を中心に―.最新医学,67: 1981-1988, 2012.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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