Uボート(読み)ユーボート(英語表記)U-boat

翻訳|U-boat

精選版 日本国語大辞典 「Uボート」の意味・読み・例文・類語

ユー‐ボート【Uボート】

〘名〙 (U-boat もとUnterseeboot (潜水艦)の略から) 第一次、第二次両大戦時のドイツの潜水艦の総称ウーボート。〔新語新知識(1934)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「Uボート」の意味・わかりやすい解説

Uボート
ユーボート
U-boat

ドイツで開発された潜水艦のこと。語源ドイツ語の Unterseebootによる。ドイツは,第1,2次世界大戦を通じて,連合国側,特に優勢なイギリス海上艦隊に対して,自国の水上艦隊をもって対抗せず,潜水艦で対抗した。第1次世界大戦直前ドイツの潜水艦は 400~650t級の中型艦 28隻で,戦争中に 344隻を建造し,192隻を失った。 1917年2月2日無制限潜水艦戦開始以来,戦果は上昇し,3月には 60万t,4月には 90万tを撃沈し,11月にはイギリスの屈服が予想されるほどであった。しかし北海英仏海峡の対潜機雷堰,護送船団方式 (→船団護衛 ) の進歩,特に 17年2月以降アメリカの参戦によって,多大の物量が投じられ,6月頃を境に戦果の減少と潜水艦の被害増大が目立ちはじめ,18年 11月のドイツの降伏を迎えるにいたった。大戦中の戦果は世界各国の商船約 1100万t,イギリス海軍の戦艦6隻 (潜水艦の機雷によるもの1隻を含む) ,以下 600隻を撃沈した。第2次世界大戦勃発時,ドイツ海軍はなお再建の途中であり,52隻のUボートを保有していたが,そのうち約 30隻は 300t未満の沿岸用であった。戦争中 659隻を建造しているが,その主力は中型の VIIC型である。この型は水上排水量 790t,水上速力 17kn,水中速力 7.6kn,魚雷発射管5の平凡な潜水艦で,572隻が建造された。大戦におけるUボートの戦果は,42年において最大に達し,825万tを沈め,当時のイギリス,アメリカの造船量 718万tを上回っていた。 43年から撃沈量は低下をはじめ,アメリカの造船量は急激にふえ,イギリス,アメリカ合計約 1500万tに達し,撃沈量を上回った。その後,44,45年とその傾向はますます顕著となり,ドイツのUボート作戦は失敗に終った。これは連合国側のレーダソーナーをはじめとして対潜兵器の進歩,対潜艦艇,航空機の増強,潜水艦建造所,基地に対する爆撃によるもので,特に 42年以降アメリカの参戦による物量の投入は,護送船団方式を成功させ,撃沈量の低下の一大要因となった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「Uボート」の意味・わかりやすい解説

Uボート
ゆーぼーと

Unterseeboot(ドイツ語)の略で、第一次・第二次両世界大戦時のドイツ潜水艦の総称。1906年最初の艦が完成、第一次世界大戦初期には実用的な航用潜水艦に発達し、緒戦でU9がイギリス装甲巡洋艦3隻を一挙に撃沈してその価値を立証した。大戦中大量建造されて通商破壊戦を行い、一時はイギリスを敗戦寸前に追い込んだ。第一次世界大戦敗戦後、ドイツは潜水艦の保有を禁じられたが、ヒトラー再軍備宣言により、1935年に建造再開、第二次世界大戦開始時には57隻を保有、大戦中に各種合計約1200隻を建造し、ふたたび通商破壊戦を行い、連合国商船1357万総トンを撃沈した。Uボートの主体は、隠密性、運動性、量産性に優れた中型潜水艦で、第二次世界大戦で主力となったⅦC型(水上排水量700トン、速力17ノット、発射管5門)はその典型である。

[阿部安雄]

『デヴィッド・ミラー著、岩重多四郎訳『Uボート総覧――図で見る「深淵の刺客たち」発達史』(2001・大日本絵画)』『『Uボートパーフェクトガイド――WW1 WW2 「歴史群像シリーズ」』(2006・学習研究社)』

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百科事典マイペディア 「Uボート」の意味・わかりやすい解説

Uボート【ユーボート】

ドイツ語のUnterseebootの略。一般にドイツ潜水艦の通称。主力艦その他水上艦艇が劣勢であったドイツは潜水艦保有を積極的に進め,第1・第2次両大戦とも,潜水艦による通商破壊作戦,泊地攻撃などに多大の戦果をあげた。
→関連項目第1次世界大戦トロンヘイムブレーメン

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知恵蔵mini 「Uボート」の解説

Uボート

ドイツ海軍が保有する潜水艦の総称。「海底の船」を意味するドイツ語Unterseebootが語源。特に第1次・第2次世界大戦時に主力兵器として運用された艦を指す。Uボートは両大戦を通して連合国側の海上艦隊や輸送船団を数多く撃沈したが、その多くが駆逐され、沈没した。沈没船は第二次世界大戦後、ノルウェー沿岸や黒海、米東海岸沖などで発見されている。

(2014-10-27)

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