VPI紙(読み)ぶいぴーあいし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「VPI紙」の意味・わかりやすい解説

VPI紙
ぶいぴーあいし

紙に気化性の防錆(ぼうせい)剤を加工した防錆紙の一商品名。vapor phase inhibitor paperの略。鉄または銅などの非鉄金属は保存中に化学変化をおこし、酸化物、水酸化物や有害な物質、いわゆる錆(さび)を生ずるが、それを防ぐ効果を有する気化性の物質(防錆剤)をバインダーなどを用いて加工原紙に塗布するか、溶剤で溶かしたものに浸漬(しんし)して得られる加工紙。加工原紙としては通常、未晒(みさらし)のクラフト紙が、一部では晒クラフト紙が使われる。気化性の防錆剤としては、〔1〕ジシクロヘキシルアンモニウムナイトレイト、〔2〕ジイソプロピルアンモニウムカプリレート、〔3〕ベンゾトリアゾールなどが用いられる。気化性の防錆紙は包装に際し金属製品に密着しなくても防錆効果があるが、その金属に適しない防錆紙を用いたり、また共存に適しない2種以上の防錆紙で金属の包装に用いたりすると、かえって金属に悪影響を与えるので、それぞれの防錆紙の適用範囲は比較的狭く、現在製造されている防錆紙の種類は多い。

[御田昭雄 2016年4月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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