WPIプログラム(読み)ダブリューピーアイプログラム

デジタル大辞泉 「WPIプログラム」の意味・読み・例文・類語

ダブリューピーアイ‐プログラム【WPIプログラム】

World Premier International Research Center Initiative》⇒世界トップレベル国際研究拠点形成促進プログラム

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「WPIプログラム」の意味・わかりやすい解説

WPIプログラム
だぶりゅーぴーあいぷろぐらむ

日本の科学技術の水準を高め、将来的に発展原動力となる国際競争力を培う基盤づくりを目ざして、世界中から優秀な人材が集まる高いレベルの研究拠点を形成する構想。第3期科学技術基本計画に基づくもので、文部科学省は基礎科学研究分野を集中的に支援する事業を、2007年度(平成19)から開始した。正式名称は世界トップレベル国際研究拠点プログラム。英語名称World Premier International Research Center Initiativeで、略称WPI。世界トップレベル研究拠点プログラム、最先端研究開発支援プログラムともいう。研究拠点に在籍する主任研究者はおよそ20人で、外国人研究者が全体の30%以上を占める総勢200人規模の拠点を、国内に複数設置する計画が進んでいる。1拠点当り、年間約14億円の補助金を原則10年間にわたって交付する。世界中で優秀な研究者の獲得競争が激化するなか、優れた研究環境と高い研究水準を、目に見える形で示す拠点づくりが最大の目的である。また資金面だけでなく、ノーベル賞受賞者や外国人有識者などによるWPIプログラム委員会が設置され、各拠点の取り組みに対するフォローアップ(進捗(しんちょく)状況の評価)や研究成果の評価もあわせて行われている。2015年度における事業全体の予定額は96億1000万円。運営は独立行政法人日本学術振興会が担当している。

 支援の期間は原則10年間のため、支援終了後、各拠点は国の補助金約14億円と同等の財源を確保する必要があり、企業などからの寄付金によって自主的な運営が迫られることになる。

 設置された研究拠点とそれぞれの研究分野は以下のとおりである(2015年度時点)。

2007年度設置
東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR):数学、材料科学など
東京大学 カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU):数学、物理学、天文学
京都大学 物質―細胞統合システム拠点(iCeMS):物質―細胞統合化学(化学、物理学、細胞生物学)
大阪大学 免疫学フロンティア研究センター(IFReC):免疫学、画像化技術、生体情報学
物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA):材料科学、化学、物理学
2010年度設置
九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER):工学触媒化学、材料科学など
2012年度設置
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS):神経科学、細胞生物学、生化学など
東京工業大学 地球生命研究所(ELSI):地球惑星科学、生命科学
名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM):合成化学、動植物科学、計算科学
 なお、2012年に設置された3拠点は、それ以前よりも研究領域と研究所の規模を絞り込んだ基準で選定されている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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