引攣(読み)ひきつる

精選版 日本国語大辞典 「引攣」の意味・読み・例文・類語

ひき‐つ・る【引攣】

[1] 〘自ラ五(四)〙
痙攣(けいれん)を起こす。また、そのような状態になる。〔文明本節用集(室町中)〕
御伽草子・福富長者物語(室町末)「あまりこしのひきつり、おなかのいたむにたえずして」
② 引っ張られてこわばる。また、硬直して動かなくなる。
自画像(1920)〈寺田寅彦〉「顔中妙に引き釣りゆがんで」
③ 物の表面が縮んでつっぱる。特に、やけどなどのため、皮膚がつっぱる。〔日葡辞書(1603‐04)〕
[2] 〘他ラ五(四)〙 痙攣させる。
※崖の下(1928)〈嘉村礒多〉「眉をぴりぴり引吊り」
[3] 〘自ラ下二〙 ⇒ひきつれる(引攣)

ひき‐つり【引攣】

〘名〙
① 顔や手足などが、ひきつること。筋肉がちぢまって痛むこと。痙攣(けいれん)を起こすこと。ひっつり。ひっつれ。〔塵芥(1510‐50頃)〕
西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉五「古未耶病て死せんとする時、その面の攣縮(レンシク)(〈注〉ヒキツリ)して」
② 皮膚などの表面がやけどなどのため引っ張ったようになっていること。また、その部分。ひっつり。ひきつれ。ひっつれ。
足袋の底(1913)〈徳田秋声〉二「傷痕引釣が」

ひっ‐つ・る【引攣】

[1] 〘自ラ五(四)〙 「ひきつる(引攣)」の変化した語。〔文明本節用集(室町中)〕
日本橋(1914)〈泉鏡花〉五六「筋が引釣(ヒッツ)る」
[2] 〘他ラ四〙 引っぱる。
滑稽本・七偏人(1857‐63)三「天窓(あたま)の皮を引(ヒッ)つったので」

ひき‐つ・れる【引攣】

〘自ラ下一〙 ひきつ・る 〘自ラ下二〙 =ひきつる(引攣)(一)
邪宗門(1909)〈北原白秋外光印象・顔の印象「痙攣(ヒキツ)れる唇の端、光なくなやめる眼」

ひっ‐つれ【引攣】

〘名〙 =ひきつり(引攣)
※ヤゴの分際(1962)〈藤枝静男〉「傷痕とは〈略〉傷が癒着してもなお一生消えない縫目や引っ吊れのことだ」

ひっ‐つり【引攣】

〘名〙 「ひきつり(引攣)」の変化した語。
※滑稽本・続膝栗毛(1810‐22)九「あばたも念の入たひっつりだらけのうへ、おまけに横小鬢が、はげてあった」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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