エチレンプロピレンゴム

デジタル大辞泉 「エチレンプロピレンゴム」の意味・読み・例文・類語

エチレンプロピレン‐ゴム

エチレンプロピレン共重合した合成ゴム。耐老化性・耐薬品性・耐水性などにすぐれ、タイヤ・電気絶縁体に使用EPR(ethylene-propylene rubber)。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「エチレンプロピレンゴム」の意味・わかりやすい解説

エチレン・プロピレンゴム
ethylene-propylene rubber

略称EPR。エチレンとプロピレンの共重合系合成ゴム。エチレンとプロピレンの共重合ゴムをEPM,これに第三成分としてジエンモノマーを加え三元共重合体としたゴムをEPDMとよび,現在は後者が主流である。EPM,EPDMをまとめてエチレン・プロピレンゴムとよぶことが多い。EPRはバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物を組み合わせたチーグラー触媒を含む炭化水素溶媒中にエチレンとプロピレンの混合ガスを吹き込んで共重合させることによって得られる。EPDMの場合は,これに第三成分を添加した系で三元共重合を行う。第三成分としてはエチリデンノルボルネンジシクロペンタジエン,1,4-ヘキサジエンなどの非共役ジエンモノマーが使用される。このため三元共重合体の側鎖にのみ二重結合が導入されるので,耐オゾン性など本来のEPRの特性をそこなうことなくEPDMには硫黄加硫性が付与され,他のジエン系ゴムとブレンドして使用することも可能になった。EPM,EPDMは耐オゾン性,耐候性,電気的性質にすぐれている。とくに耐オゾン性はクロロプレンゴムブチルゴムなどよりすぐれている。このような性質をもつことからラジエーターホース,ワイパーブレード,窓枠などの自動車用部品,電線被覆,耐熱性コンベヤベルト,耐熱ホース,耐薬品ホースなどの工業用品,建築用ルーフィング材などに広く使用されている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「エチレンプロピレンゴム」の解説

エチレンプロピレンゴム
エチレンプロピレンゴム
ethylene-propylene rubber

EPDM(ethylene propylene diene methylene linkage)またはEPRと略記される.合成ゴム一種で,エチレンとプロピレンの共重合体である.チーグラー-ナッタ触媒を用いてつくられ,両成分の配列はランダム配列であることが望ましく,その比は60:40ないし40:60である.また,加硫をしやすくるために第三モノマー成分としてジエン類を含むものもある.耐熱性,耐老化性,耐候性,耐オゾン性,電気的特性および低温脆化性がよいので,主として電線,電気部品,工業用品として用いられる.[CAS 9010-79-1]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android