iPhone(読み)あいふぉーん(英語表記)iPhone

翻訳|iPhone

知恵蔵 「iPhone」の解説

iPhone

アップル社が開発したスマートフォン。初代機は2007年6月に発売されたが、日本での発売は、08年7月に発売された2世代目のiPhone 3Gから。国内の販売事業者はソフトバンクモバイルである。09年6月には3世代目のiPhone 3GSが発売され、日本でも同月26日に発売された。日本語名は「アイフォーン」である。
最大の特徴は本体から数値や文字入力用のキーを廃し、タッチパネル内蔵の液晶画面を直接指でタッチして操作する方式を採用していること。他社からも類似の端末が発売されるきっかけとなった。基本ソフト(OS)として、同社製パソコン「マッキントッシュ」で採用している「Mac OS X」を小型機器向けに改変したものを搭載。画面に表示されるボタンに触れるだけでなく、表示内容を指でスライドさせたり、ピンチ操作で表示を拡大・縮小するなど、斬新で簡易な操作を実現した。また、明るさセンサーや傾きセンサーを内蔵し、自動的に画面の明るさを変更するだけでなく、通話中は画面を消灯し、耳が触れても動作しないようにしたり、ソフトごとの対応が必要だが、本体の向きを変えるだけで縦横の表示が回転するようになっていたりなど、実用上の工夫も多い。
2世代目のiPhone 3Gまでは文章の範囲指定やコピー(カット)&ペーストができないことが欠点とされていたが、iPhone 3GSの発売に合わせて公開されたOS 3.0で対応した。従来機種もOSのバージョンアップが可能である。
電話機能に加え、同社の音楽プレーヤー「iPod」と同様の音楽・映像・写真の再生機能や、ウェブブラウザー電子メールカレンダーといった機能を備える。ウェブブラウザーはパソコン向けのページも難なく表示するが、今のところFlashには対応していない。また、動画共有サービス「You Tube」専用の視聴ソフト、内蔵GPSによる位置確認機能と連動した地図ソフト(Google Map)といった機能も搭載している。iPhone 3GSではデジタルコンパスが追加され、現在位置の確認だけでなく、iPhone本体の向いている方向に地図の表示を回転させることも可能になっている。
専用アプリケーション・ソフトの追加が可能で、アップル社が運営する「App Store」でダウンロード購入できる。iPod向けに音楽や映像を買える「iTunes Store」と類似のスタイルである。OS3.0からは、各アプリケーションからコンテンツを追加購入できる仕組みが導入され、有料でデータの追加や更新をやりやすくなっている。
さらに、iPhone 3GSでは、デジタルカメラの機能も強化され、画素数が130万から300万に増加、オートフォーカス機能を搭載、静止画だけでなく動画撮影にも対応するなどの機能強化がなされた。同時に通信速度の向上やCPUの強化なども行われている。
一方、いわゆる「ケータイ公式コンテンツ」にアクセスできず、ショッピング代金などを通信料金とまとめて払う決済代行サービスも使えない、ワンセグチューナーや電子マネー機能を内蔵しないなど、日本国内で一般的に利用されている携帯電話向けのサービスの大半が使えない。そのため、携帯電話のヘビーユーザーほど乗り換えにくいという課題も抱える。電子メールで絵文字が使えないという問題もあったが、iPhone 3GのOS2.0でバージョンアップが行われ、すでに解消済みである。

(斎藤幾郎 ライター / 2009年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「iPhone」の意味・わかりやすい解説

iPhone
あいふぉーん

アップル社が提供するスマートフォン。初代iPhoneは、携帯音楽プレーヤーであるiPod(アイポッド)に携帯電話や電子メールの送受信、インターネット接続などの通信機能、PDA機能などを付加した携帯端末として2007年に発売された。特徴的なのは、携帯電話などで使われていた入力用のキーを筐体(きょうたい)に組み込まず、タッチパネル式の全面ディスプレーに表示して代用する方式を採用したことである。また、画面を軽く叩(たた)くタップ、はじくような動作のフリック、2本指を使って画面を縮小・拡大するピンチインピンチアウトといったマルチタッチ操作に対応させている。2008年には第3世代の移動体通信システム(3G)に対応したiPhone 3G、2009年に改良型のiPhone 3GS、2010年にフルモデルチェンジのiPhone 4、2011年にはその改良型のiPhone 4S、2012年にはiPhone 5、2013年にはiPhone 5sとiPhone 5cの2種類が発売された。

 2013年10月時点で最新のiPhone 5sは、サイズが高さ123.8ミリメートル×幅58.6ミリメートル×厚さ7.6ミリメートル、重量112グラムで、4インチディスプレー、画素数8メガピクセルのカメラを搭載している。ローエンドモデルのiPhone 5cとともにOSはiOS 7で、インターネットを利用してネットワーク上のサーバーにデータ類を保存するiCloud(アイクラウド)、音声認識を利用した操作補助機能Siri(シリ)などが使える。また、App Store(アップストア)で提供されている数多くのアプリケーションを導入することで、機能追加も可能である。

 日本の携帯電話会社では、ソフトバンクモバイルが2008年(平成20)から、KDDI(au)が2011年から、NTTドコモが2013年から販売している。

 なお、iPhoneで使われるiOSは、iPhoneのほかにiPad、iPod touchなどにも搭載されている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

IT用語がわかる辞典 「iPhone」の解説

アイフォーン【iPhone】

アップルが販売するスマートフォンのシリーズ名。同社のデジタルオーディオプレーヤーiPodと同等の機能を持ち、タッチパネルで操作する。日本では平成20年(2008)に第3世代携帯電話に対応した機種が発売された。

出典 講談社IT用語がわかる辞典について 情報

ASCII.jpデジタル用語辞典 「iPhone」の解説

iPhone

アップル社が開発している携帯電話。スマートフォンのひとつで、同社のOS、Mac OS XのサブセットにあたるiPhone OSを搭載している。指で画面に触れて操作するタッチパネルを搭載し、主要な操作ボタンはひとつという特徴的な外観と、センサー(加速度、近接、照度)を利用した斬新なユーザーインターフェースで、スマートフォンの一般への認知度を高めた。携帯電話の3Gネットワーク、または無線LANを経由して、インターネットが利用でき、同社が運営するApp Storeからアプリケーションをダウンロードして自由に追加できる。同社の携帯音楽プレーヤー、iPodの機能を含むほか、GPS、電子コンパスを搭載している。国内では、ソフトバンクモバイル(株)が2008年から販売している。

出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報

パソコンで困ったときに開く本 「iPhone」の解説

iPhone

iPodやマックを作ったアップルが開発したスマートフォンです。大きめの本体のほぼ全面がタッチ式の液晶画面になっており数字キーもありません。ほぼすべての操作を画面を指でタッチして行います。
⇨iPod、アップル、スマートフォン

出典 (株)朝日新聞出版発行「パソコンで困ったときに開く本パソコンで困ったときに開く本について 情報

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