キックボクシング(英語表記)kickboxing

翻訳|kickboxing

精選版 日本国語大辞典 「キックボクシング」の意味・読み・例文・類語

キック‐ボクシング

〘名〙 (洋語kick boxing) タイ式ボクシングヒントを得て一九六〇年代前半に日本考案されたボクシング。普通のボクシングと違って、体のどの部分を用いて相手を攻撃してもよく、けりひじ打ち、頭突き、投げなどの技も認められている。

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デジタル大辞泉 「キックボクシング」の意味・読み・例文・類語

キック‐ボクシング

《〈和〉kick+boxing》ムエタイタイ式ボクシング)から考案された日本独特の競技。投げ技が許されることもある。

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改訂新版 世界大百科事典 「キックボクシング」の意味・わかりやすい解説

キックボクシング
kickboxing

一般には,タイ式ボクシング(ムエ・タイ)の日本での別称。狭義には,タイ式ボクシングに投げの攻撃を加えて新しく作った日本独特の格闘技。タイ式ボクシングは,中世における戦争での接近戦で,腕,ひじ,足を使ったのが起源とされ,タイの国技ともなっている。手ばかりでなく,ひざ,足,頭,ひじを使えるところがふつうのボクシングとは異なる。1958年,野口ジムの野口修は,このタイ式ボクシングを見てそのスリルにひかれ,日本に普及させようと59年10月東京でエキジビションを公開。さらに,タイ式ボクシングが禁止している投げと頭突きの攻撃法を加えた新しい格闘技を考案,キックボクシングと名づけた。ボクシングというよりは空手的な要素が強いため,野口は空手の選手に目をつけて強化,64年2月には実戦空手の3選手をタイに送って,初の国際試合をさせた。66年1月,野口は日本キックボクシング協会(現,新日本キックボクシング協会)を創立するとともに,4月大阪で初試合を行った。その後,空手界から沢村忠を勧誘したのが成功し,沢村は〈キックの鬼〉の異名で爆発的な人気を得た。さらに71年には全日本キックボクシング連盟という対抗馬も生まれ,テレビ局の競争もあってキックボクシングは一時隆盛を誇った。しかし,80年代に入ると他の格闘技の出現もあり,爆発的ブームもやがて下火になった。

 試合方法は,フライ級からヘビー級までの7~10階級に分かれ,多くは3回戦から5回戦制。ボクシング同様1ラウンド3分間の試合と1分間の休憩となっている。現在,上記2団体のほか,マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟,ニュージャパンキックボクシング連盟,全日本学生キックボクシング連盟などの組織がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キックボクシング」の意味・わかりやすい解説

キックボクシング
きっくぼくしんぐ

ボクシングに似た格闘競技。タイの国技であるタイ式ボクシング(ムエタイ)に日本の空手を組み入れた日本独得の競技。タイ式は主武器が足技(あしわざ)で、ボクシングのルールでは認められていない膝(ひざ)けり、肘(ひじ)打ちが認められている。これに空手のけりや投げ技を加えたのがキックボクシングである。

 競技方法は1ラウンド3分で3ないし5ラウンド行い、1ラウンドごとに2分間の休憩がある。審判は主審と副審2人。採点は5点法による減点法。階級はボクシングと同じウェイト制で7階級、グラブは4~8オンスである。

 1964年(昭和39)極真会空手の3選手がタイに遠征、その試合を企画した野口修(おさむ)(1934―2016)はボクシングとは違うスピード、スリル、迫力に感動してキックボクシングを発案した。初めて一般に公開されたのは沢村忠(ただし)(1943―2021)がデビューした1966年4月の試合で、翌年にはテレビで全国放映された。現在、日本キックボクシング・コミッションと本来のタイ式ボクシングのルールを尊重する全日本キックボクシング・コミッションなどがある。なお1978年藤原敏男(1948― )は500年ともいわれるムエタイ史上初めて外国人のチャンピオンとなった。

[石井恒男]

『写真集『戦士――キックボクシング20年史』(1984・スポーツライフ社)』

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知恵蔵 「キックボクシング」の解説

キックボクシング

タイの国技ムエタイ(タイ式ボクシング)をモデルに、日本で考案された格闘技。パンチ、キックのほか、ひじ、ひざも使うのが特徴。プロボクシングのプロモーターだった野口修が「キックボクシング」の名称を考案して1966年に日本に紹介し、日本キックボクシング協会を設立した。「真空飛びひざ蹴り」の沢村忠が人気を呼び、テレビのゴールデンタイムにレギュラー番組ができるなど一大ブームとなった。その後は下火となったが、90年代に入って活気を取り戻している。基本的に1ラウンド3分の3〜5回戦。協会は分裂を繰り返して乱立している。

(大野宏 朝日新聞記者 / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キックボクシング」の意味・わかりやすい解説

キックボクシング

タイ式ボクシングを元に日本式に規則が改められた格闘技。両手にグラブをはめた2人の競技者が,蹴り技を主たる攻撃手段とし,ボクシングのパンチのほかに,肘打ちなどを駆使して戦う。興行師の野口修が命名し,1966年日本キックボクシング協会を設立した。その後スター選手,沢村忠の登場もあって一時ブームを巻き起こした。

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