アミノフェノール

化学辞典 第2版 「アミノフェノール」の解説

アミノフェノール
アミノフェノール
aminophenol

hydroxyaniline,hydroxybenzeneamine.C6H7NO(109.13).HOC6H4NH2.塩基性のアミノ基と酸性のヒドロキシ基とを同一ベンゼン核にもつので,無機酸と塩をつくる一方,強いアルカリに溶ける.o-,m-,p-アミノフェノールの3種類の異性体がある.【o-アミノフェノール:o-ニトロフェノールを還元してつくられる.昇華性の針状晶.融点174 ℃.空気中で徐々に酸化され,褐色にかわる.エーテルベンゼンエタノールに易溶,水に可溶.λmax 233,285 nm(log ε 3.84,3.51).アゾ染料硫化染料酸性染料の中間物となる.[CAS 95-55-6]【m-アミノフェノール:m-ニトロフェノールの還元,メタニル酸アルカリ融解またはレソルシノールの部分アンモノリシスによってつくる.結晶.融点123 ℃.エーテル,エタノール,水に可溶.λmax 287 nm(log ε 3.32).空気中で安定である.アゾ染料酸化染料の中間物,また抗結核剤p-アミノサリチル酸の原料となる.LD50 1660 mg/kg(ラット経口).[CAS 591-27-5]【p-アミノフェノール:p-ニトロフェノールの還元,またはニトロベンゼン硫酸およびアルミニウムとともに加熱する方法などでつくられる.結晶.融点186 ℃.水,エタノールに可溶,ベンゼンに不溶.λmax 234,301 nm(log ε 3.89,3.36).酸化クロム(Ⅳ)で酸化するとp-ベンゾキノンとなり,亜硫酸ナトリウムを加えたものはロジナールとよばれ,写真現像薬として用いられる.そのほか,金属の検出用試薬,硫化染料,酸化染料の中間物となる.[CAS 123-30-8]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「アミノフェノール」の意味・わかりやすい解説

アミノフェノール
aminophenol



フェノールのベンゼン核についている水素原子をアミノ基-NH2で置換した化合物。ふつうはアミノ基が一つのものをさし,これにはo-,m-,p-の3異性体が存在する。p-体はフェノールとジアゾニウム塩の反応で生ずるp-フェニルアゾフェノールをハイドロサルファイトNa2S2O4で還元して作る。

アミノフェノールは容易に酸化されてキノンになる。

このため写真の現像液(ロジナール,メトールアミドールなど)として使われている。また染料の合成原料でもある。
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