ケイ酸ナトリウム(読み)ケイサンナトリウム

化学辞典 第2版 「ケイ酸ナトリウム」の解説

ケイ酸ナトリウム
ケイサンナトリウム
sodium silicate

Na2O・nSiO2mH2O(n = 1/2,1,2,3,4,m = 0~9)の組成をもつ一連化合物.おもなものは,オルトケイ酸ナトリウムメタケイ酸ナトリウム水ガラスである.なお,普通のガラス(ソーダガラス)は,NaとCa混合ケイ酸塩である.【】オルトケイ酸ナトリウム:Na4SiO4(184.04).二酸化ケイ素水酸化ナトリウムを混合し,適当な反応条件下で溶融反応させると得られる.六方晶系,固体は独立した四面体型のSiO44-をもつ.密度約2.5 g cm-3.融点1018 ℃.水に可溶であるが,水溶液中でSiO44-は不安定で,会合する.酸とともに加熱するとSiO2を析出する.[CAS 13472-30-5]【】メタケイ酸ナトリウム:(Na2SiO3)n(122.06)【】水ガラス:Na2O・nSiO2nが2~4に相当するものの混合物の濃厚水溶液で,成分としてはn = 3のNa2Si3O7がもっとも多い.[CAS 13870-30-9:Na2Si3O7][CAS 12059-45-9:Na6Si8O19]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケイ酸ナトリウム」の意味・わかりやすい解説

ケイ酸ナトリウム
けいさんなとりうむ
sodium silicate

ケイ酸のナトリウム塩の総称。多くの種類がある。普通には、メタケイ酸ナトリウムNa2SiO3をさす。二酸化ケイ素と炭酸ナトリウムを1対1のモル比で混合し、1000℃で融解すると無水和物が得られる。その水溶液から含水量の異なる各種の水和物がつくられる。無水和物は無色斜方晶系の結晶。融点1088℃で、水によく溶け、その水溶液は加水分解のため強アルカリ性を示す。

 オルトケイ酸ナトリウムNa4SiO4は、二酸化ケイ素と水酸化ナトリウムを1対4のモル比で混合、融解すると得られる。無色六方晶系結晶。融点1018℃。水に溶ける。そのほかメタ二ケイ酸ナトリウムNa2Si2O5などのポリ縮合)ケイ酸ナトリウムが多数知られている。一般にこれらケイ酸ナトリウムの濃水溶液を水ガラスといっている。

[鳥居泰男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケイ酸ナトリウム」の意味・わかりやすい解説

ケイ酸ナトリウム
ケイさんナトリウム
sodium silicate

普通はメタケイ酸ナトリウム Na2SiO3 のことをさす。二酸化ケイ素 SiO2 と水酸化ナトリウム NaOH を融解して得られ,組成により多種に分れる。メタケイ酸ナトリウムのほかに,水和物のオルトケイ酸ナトリウム Na4SiO4 ,二ケイ酸ナトリウム Na2Si2O5 などがある。水ガラスはケイ酸ナトリウムの濃水溶液であるが,組成は一定でない。

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