シルウェステル1世(読み)シルウェステルいっせい(英語表記)Silvester I

改訂新版 世界大百科事典 「シルウェステル1世」の意味・わかりやすい解説

シルウェステル[1世]
SilvesterⅠ
生没年:?-335

ローマ司教(教皇)。在位314-335年。癩病にかかったコンスタンティヌス大帝洗礼を施して全快させ,大帝より財産を寄進されたとの伝説がある(《コンスタンティヌスの寄進状》)。ラテラノ大聖堂(サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂)を建立した。石工,左官などの守護聖人。美術作品における持物は,伝説にちなんだ牡牛(彼が生き返らせた),竜(毒を吐くその口を封じた)など。通常,三重冠をかぶり錫杖や本を持つ司教服姿で表される。祝日は12月31日。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シルウェステル1世」の意味・わかりやすい解説

シルウェステル1世
シルウェステルいっせい
Silvester I

[生]? ローマ
[没]335. ローマ
ローマ出身の教皇 (在位 314~335) 。聖人 (祝日 12月 31日-ヨーロッパでは大晦日をシルウェステルの日と呼ぶことがある) 。 314年のアルル教会会議のドナツス派排斥の決定を認め,325年の第1回ニカイア公会議に2人の使節を派遣した。旧法令集のなかのシルウェステルのカノンは6世紀初めのもの。伝説はコンスタンチヌス大帝の癩病をなおし,彼に洗礼を施し,そこからいわゆるコンスタンチヌス1世 (大帝)贈与を受けたとされるが,これは後世虚構

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世界大百科事典(旧版)内のシルウェステル1世の言及

【音楽学校】より

…音楽の演奏,理論,作曲,教育,音楽学などを教育,研究するための社会的機関をいう。その源流は,4世紀に教皇シルウェステル1世によりローマ教会用の聖歌要員養成機関として設立されたスコラ・カントルム(聖歌学校)にまでさかのぼることができるが,近代的な意味での音楽学校の元祖は,ベネチアの〈オスペダーレospedale(病院)〉であるとされている。すなわち,病院の付属機関として,ピエタ慈善院Ospedale della Pietà(1346)などが設立され,音楽の才能のある女子に対して教育が行われたのである。…

【コンスタンティヌスの寄進状】より

…作成の事情に関しては異見が多く,ピピン3世の754年のローマ教会への寄進に関連して,または800年のカール大帝の戴冠を正当化するためにローマで作成されたとする説が有力であるが,9世紀前半フランク王国成立説もある。内容は,コンスタンティヌス1世(大帝)が癩病を時のローマ司教シルウェステル1世(在位314‐35)の洗礼によって治癒してもらったことに感謝して,ローマ司教とその後継者がアンティオキア,アレクサンドリア,コンスタンティノープル,エルサレムの四主教座の上に支配権を有すること,またローマ市を含む全イタリア,西方属州,地区および都市をローマ司教の支配にゆだねることを述べており,教皇権の世俗権,皇帝権に対する優越を主張したものとされる。その偽書たることは15世紀にニコラウス・クサヌスおよび最終的にはバラによって論証された。…

※「シルウェステル1世」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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