丈長(読み)タケナガ

デジタル大辞泉 「丈長」の意味・読み・例文・類語

たけ‐なが【丈長】

[名・形動]
丈が長いこと。衣服などが身長に比べて長いこと。また、そのさま。「丈長な(の)髪」「和服丈長に着付ける」
丈長奉書」の略。
丈長奉書や杉原紙などを畳んで、元結の上に飾りに結んだもの。平元結ひらもとゆい長平紙ながひらがみ

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精選版 日本国語大辞典 「丈長」の意味・読み・例文・類語

たけ‐なが【丈長】

〘名〙
① (形動) 丈が長いこと。特に、衣服などが身長に比べて長めであること。また、そのさま。
※雑俳・川柳評万句合‐天明元(1781)仁二「かうしんの夜はたけ長におよぶなり」
※めぐりあひ(1888‐89)〈二葉亭四迷訳〉一「丈長な鼠色の衣服や」
和紙一種奉書紙の類で、紙質が厚く、縦一尺八寸三分(約五五センチメートル)・横二尺四寸七分(約七五センチメートル)のもの。丈長奉書。
浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)五「たとへば楊枝一本たけ長(ナガ)の紙一枚でも半助が物を買てやれ」
③ ②を細長く切って平らにたたみ、元結(もとゆい)の上に装飾用として結んだもの。平元結(ひらもとゆい)
評判記色道大鏡(1678)九「たけながのもとゆひ紙を折て、文かきやりたる傾城あり」

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改訂新版 世界大百科事典 「丈長」の意味・わかりやすい解説

丈長 (たけなが)

江戸時代の女髷(まげ)に用いる和紙による髪飾の一種。実用性のみの髪を束ね結う撚元結(よりもとゆい)と,装飾性をも兼ね備えた平元結(ひらもとゆい)とは,近世中ごろまでの女髷を形づくる過程に用いられてきた。宝暦年間(1751-64)ころより髪形が複雑になり,撚元結と装飾のみに用いる丈長の2種に大きく分けられ,平元結は姿を消した。丈長は平元結の一種で,ほぼ40cm以上のものを用い,結び方も二重回しにしたり,結ばずに合せ掛けにするなど種々の装飾的な形式が作られた。幅は2~3cmのものを四つ折にしたものが初期の形式で,丈も幅も徐々に広く長くなり,一時は鬢(びん)や髱(たぼ)の下に長くはみ出して掛けるのが流行した。《江戸紫》(1764-72)には丈長の掛け方が記されているが,〈丈長何事もとし相応と言ながら,すんなりと有りたし,長くたれさがりたるは,いやらしとやいはんか〉とある。浮世絵では鈴木春信一派の髪形によく丈長の状態が描かれている。明治以降は,花嫁文金高島田芸者島田髷に受けつがれ,紅白その他の色が使われ,金銀の泥(でい)や箔(はく)で模様が施されたものが作られている。これを髷の根元に巻くので根掛(ねがけ)ともよばれている。
髪形
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世界大百科事典(旧版)内の丈長の言及

【髪飾】より

…近世,女子が下げ髪から髷を結うようになると,髪飾は飛躍的に発達し,多種多様なものがでてきた。江戸時代には,櫛,簪,笄のほか,掛物といわれる手絡(てがら),丈長(たけなが),根掛(ねがけ)などが用いられた。掛物は元結と共に,いわゆる日本髪に使われる髪飾である。…

※「丈長」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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