乙武洋匡(読み)おとたけひろただ

知恵蔵 「乙武洋匡」の解説

乙武洋匡

日本の作家。1976年4月6日、東京都生まれ。生まれつき両手両足がなく、電動車椅子を使用する。障害を持つ自身体験をつづった『五体不満足』(講談社)の著者として注目された後、スポーツライター小学校教員を経て、近年は教育現場での経験や子どもたちへのメッセージを様々なメディアで発信している。2013年2月から東京都教育委員。
早稲田大学在学中の1998年に出版した『五体不満足』は、周囲に支えられて障害をあまり苦にせずに育ったという幼少期からの暮らしぶりや学生生活が描かれ、580万部のベストセラーになった。その後、ニュース番組のサブキャスターやスポーツ雑誌のライターなどを経験したが、少年による殺傷事件が相次いだことに心を痛め、自らの能力を生かした社会貢献をしようと教育活動に関わるようになった。2005年から新宿区教育委員会非常勤職員「子どもの生き方パートナー」を務め、07年には小学校教諭二種免許状を取得し、10年までの3年間、公立小学校に教員として勤務した。また、保育園の経営にも携わっている。このような様々な経験や取材を基に講演や執筆活動を精力的に行い、「みんな違っていい」ということなどを伝えようとしている。教員時代の経験を基に描いた自伝的小説『だいじょうぶ3組』(講談社)は映画化され、自身をモデルとする教員役を演じた。映画は、廣木隆一監督、国分太一主演で、13年3月に公開される。ほかに、『だから、僕は学校へ行く!』、『希望 僕が被災地で考えたこと』(いずれも講談社)などの著書がある。

(原田英美  ライター / 2013年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「乙武洋匡」の解説

乙武洋匡 おとたけ-ひろただ

1976- 平成時代のスポーツライター。
昭和51年4月6日生まれ。早大在学中の平成10年,障害者としての自身の体験を「五体不満足」として出版し,470万部を越えるベストセラーとなる。翌年「乙武レポート」を刊行。その後スポーツライターとして活躍。19年小学校教諭二種免許状を取得して小学校に勤務。東京出身。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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