公示送達(読み)コウジソウタツ

デジタル大辞泉 「公示送達」の意味・読み・例文・類語

こうじ‐そうたつ【公示送達】

民事訴訟法で、送達しなければならない書類をいつでも交付する旨を、一定期間、裁判所掲示板掲示することによって送達の効果を生じさせる方法当事者の住居所が不明のとき、または外国で嘱託送達のできない場合などに認められる。

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精選版 日本国語大辞典 「公示送達」の意味・読み・例文・類語

こうじ‐そうたつ【公示送達】

〘名〙 訴訟関係書類の送達方法の一つ。当事者の住居所の不明な場合、または通常の送達方法によることができない場合などに、その書類を一定期間、裁判所の掲示場などに掲載して公示するもの。本人に送達したと同一の効力を生ずる。
※民事訴訟法(明治二三年)(1890)一五七条「公示送達は〈略〉裁判所書記之を取扱ふ」

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改訂新版 世界大百科事典 「公示送達」の意味・わかりやすい解説

公示送達 (こうじそうたつ)

民事訴訟法上の特殊な送達方法の一種で,送達すべき書類を,送達を受けるべき者が出頭すればいつでも交付する旨を裁判所の掲示場に掲示(呼出し状の場合はそれを貼付)することによって行う(民事訴訟法111条)。当事者に主張立証の機会を与え審理の充実を期するには,現実の通知(正規の方法は送達)が必要であるが,当事者の住居所その他送達場所が知れない場合や,外国で嘱託送達の方法がとれないかその効果がないと認められる場合など,他方の当事者に裁判を受ける機会を確保するためにやむをえない事情があるときは(110条1項),いわば最後の手段として公示送達の道がある。公示送達は,原則として当事者の申立てにより裁判長の許可があった場合に行われるが,訴訟の遅滞を避けるために必要がある場合は,例外的に職権によることもできる。いったん公示送達がなされると,同一当事者に対するその後の公示送達は書記官が職権でする。掲示の日から2週間を経過すると,公示送達の効果が生じる(外国でしなければならない送達の場合は6週間)。ただし,2回目以降の送達は翌日にただちに効果を生ずる(112条)。公示送達は不知による名宛人の不利益を当然予定しているので,送達書類の内容が現実に了知されなかったにしても,それだけでは,公示送達は無効にならないし,訴訟行為の追完や再審の訴えも認められない。名宛人の責めに帰することのできない特別の事情があれば,救済の余地がある(97条1項)。刑事訴訟法では,被告人の防御権保障の見地からして,公示送達は認められない(刑事訴訟法54条)。
送達
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「公示送達」の意味・わかりやすい解説

公示送達
こうじそうたつ

送達

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世界大百科事典(旧版)内の公示送達の言及

【送達】より

…その実施者は原則として執行官または郵便集配人だが,書記官みずからも例外的に実施することがある(99~100条,111条)。 送達実施の方式には,交付送達,郵便に付する送達,および公示送達がある。 交付送達は,名宛人の住所,居所,営業所,または事務所において,送達書類を交付する方式であり,その確実性ゆえに原則的方式とされている(民事訴訟法101条)。…

※「公示送達」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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