猪瀬博(読み)いのせひろし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「猪瀬博」の意味・わかりやすい解説

猪瀬博
いのせひろし
(1927―2000)

電子工学者。東京都生まれ。1948年(昭和23)東京大学工学部卒業。1961年東京大学教授となり、同大の教育用計算機センター長、大型計算機センター長などを歴任、1986年には文部省学術情報センター(現、国立情報学研究所)の初代所長となった。情報のデジタル技術とその応用の研究に多くの成果をあげ、また道路の交通管制、とくに信号機の制御方式の開発でも知られる。大学間の情報ネットワーク化にも力を注いだ。1985年文化功労者となり、1991年(平成3)文化勲章受章。東京大学名誉教授。

[編集部]

『猪瀬博著『文化としての科学技術を考える』(1990・三田出版会)』『猪瀬博著『センター・オブ・エクセレンスの構築』(1990・日経サイエンス社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「猪瀬博」の意味・わかりやすい解説

猪瀬博
いのせひろし

[生]1927.1.5. 東京
[没]2000.10.11. 東京
電子工学者。1948年東京大学第二工学部卒業。東芝勤務を経て 1961年東京大学教授,1983年東京大学文献情報センター長,1986年東京大学工学部部長。1984年経済協力開発機構 OECD科学技術政策委員会議長を務め,1986年文部省学術情報センター(のちの国立情報学研究所)所長に就任。この間発展著しい電子工学の研究に従事,特にデジタル電話交換機の「タイムスロット入替方式」の発明は画期的業績であり,この技術は ISDNなどデジタル通信技術の基礎となっている。信号機制御など大都市における広域交通管制システムの開発,オンライン図書館など学術情報システムの研究開発分野でも多大な功績を上げた。東京大学工学部部長時代には先端科学技術研究センターを設立し,学問の国際化,学際化に尽くした。1979年日本学士院賞を受賞,1985年文化功労者,1991年文化勲章を受章。1996年日本学士院会員。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「猪瀬博」の解説

猪瀬博 いのせ-ひろし

1927-2000 昭和後期-平成時代の情報工学者。
昭和2年1月5日生まれ。36年母校東大の教授となり,52年大型計算機センター長。62年学術情報センター(現国立情報学研究所)初代所長。デジタル交換機のタイムスロット入替方式を発明,大学間のコンピューターネットワーク開発を推進した。54年学士院賞。平成3年文化勲章。平成12年10月11日死去。73歳。東京出身。著作に「情報の世紀を生きて」など。

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