石川遼(読み)いしかわりょう

知恵蔵 「石川遼」の解説

石川遼

石川遼(18歳、パナソニック)が2009年度日本男子プロゴルフツアーの賞金王になった。今季最終戦、日本シリーズJTカップ(東京よみうりCC)で19位に終わったが、年間獲得賞金を通算1億8千352万4千51円として、1999年に尾崎将司がつくった26歳の最年少賞金王記録を36年ぶりに更新した。世界の主要プロツアーでも欧州ツアーのセベ・バレステロス(スペイン)の19歳を凌(しの)ぐ。
91年9月17日、埼玉県北葛飾郡松伏町生まれ、東京・杉並学院高校3年生。父親の勝美さんの影響で6歳からゴルフを始め、松伏町立松伏第二中学校では陸上部の短距離選手。アマチュア時代の高校1年生のときマンシングウェアオープンKBCカップで初優勝。09年は国内ツアー24試合に出場して、ミズノオープンよみうりクラシックを始めサン・クロレラクラシック、フジサンケイクラシック、コカ・コーラ東海クラシックの4大会に優勝。海外でもマスターズ、全英オープン、全米プロなど8試合に出場するなど精力的に活動した。デビュー以来国内ツアー6勝(関西オープンは当時後援競技)。
思い切りのいいスイングで飛ばし屋のイメージが強いが、今年の好成績は小技が冴(さ)えていた。ドライビングディスタンスは292.37で9位、フェアウエーキープ率は50位にも入っていないのに、バーディー率は4.42、平均パットも1.7235、平均ストロークは69.93といずれも1位。進境著しいのは100ヤード~130ヤードのアプローチの距離感。52度のウエッジピッチングと9番アイアンを使って巧みにスピン量をかけ分ける。ロブショットも多用するが、これらは海外での試合から覚えたと思われる。
素直な性格だがゴルフに関しては頑固者、どこまでも攻めの姿勢にこだわる。得意のドライバーを使って飛距離で試合を有利に展開しようとする。ミスしても飛躍への糧と受け止める前向きさ、切り替えのはやさ、さらに行き届いた周囲への気配りは、とても18歳とは思えない。垢(あか)抜けたファッションとともに石川の人気の原点だろう。石川の活躍で各トーナメントの観客数は飛躍的に伸び、彼より年下ゴルファーも石川人気に触発されて次々と頭角を現してきている。東京運動記者クラブゴルフ分科会選出の09年度MVPに選ばれた。家族両親と妹弟の4人。

(岡田忠  スポーツジャーナリスト / 2009年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「石川遼」の解説

石川遼 いしかわ-りょう

1991- 平成時代のプロゴルファー。
平成3年9月17日生まれ。6歳でゴルフをはじめ,全国中学校ゴルフ選手権大会などに優勝。平成19年高校1年で日本ゴルフツアー機構(JGTO)主管のマンシングウェアオープンKSBカップに優勝(日本ツアー最年少優勝)。ニックネームの「ハニカミ王子」は流行語大賞を受賞する。20年杉並学院高に在学しながらのプロ転向を宣言。同年マイナビABCチャンピオンシップでプロ初勝利。同年最優秀新人賞,日本プロスポーツ大賞。21年4勝をあげJGTO史上最年少での賞金王となり,MVPに選ばれる。埼玉県出身。杉並学院高卒。

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