転封(読み)テンポウ

デジタル大辞泉 「転封」の意味・読み・例文・類語

てん‐ぽう【転封】

[名](スル)江戸時代幕府命令で、大名領地を他に移すこと。移封国替え。

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精選版 日本国語大辞典 「転封」の意味・読み・例文・類語

てん‐ぽう【転封】

〘名〙 領地を他に移されること。江戸時代、幕府の命令により大名の領地をかえること。移封。国替え。
近世畸人伝(1790)一「伊予大洲に転封せらるるゆゑに」

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百科事典マイペディア 「転封」の意味・わかりやすい解説

転封【てんぽう】

豊臣秀吉・江戸幕府によって行われた大名の配置替えのこと。国替(くにがえ)・移封(いほう)ともいう。大名移動の際,家臣団は随伴するが,百姓は移動せず,兵農分離を促進させ,大名・家臣団の在地性が払拭された。江戸幕府は転封を改易とともに大名統制策の基本とし,家康秀忠・家光の徳川初期3代の将軍の時代に盛んに行われた。この時代は外様大名を改易して無主となった地に徳川一門・譜代大名を配置するかたちが主で,当初は関東・東海地方を中心としたが,漸次全国に拡大され,寛永(1624年―1644年)ころには徳川氏を中心とする新しい領国体制が完成した。その後は転封は減少し,特定譜代藩による交換転封形式が主なものであった。転封の際,領地・城の受渡しには幕府上使が派遣され,城内諸道具の処置,支配帳簿・先納貢租の交換など細かい手続を必要とした。
→関連項目上知令甲府勤番田辺宮津

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「転封」の解説

転封
てんぽう

移封・所替(ところがえ)・国替(くにがえ)とも。江戸時代,幕府による大名領地の配置替え。恩賞的な加増転封,懲罰的な減封転封,行政的なものなどいくつかの理由で行われた。最も頻繁に行われたのは徳川将軍家初期3代の家康・秀忠・家光の時期であり,結果的に徳川一門や譜代大名が全国に配置される原動力となった。中・後期には転封発令の件数が減少し,譜代大名の幕閣就任にともなう行政的なものにかぎられるようになった。1840年(天保11)の3譜代大名の三方領知替(さんぽうりょうちがえ)は,一度発令されながら強い反対で撤回。このように幕末には幕府の転封実施も行われなくなり,幕府権力の全国統治権の後退を象徴するものとなった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「転封」の意味・わかりやすい解説

転封
てんぽう

国替

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旺文社日本史事典 三訂版 「転封」の解説

転封
てんぽう

国替 (くにがえ)

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世界大百科事典(旧版)内の転封の言及

【国替】より

…江戸時代に行われた大名の配置替えのこと。転封(てんぽう)または移封ともいう。豊臣秀吉のときに始まるが,江戸幕府の初期3代の将軍によって強行された。…

【大名】より

…そのなかで最も多かった大名は5万石以下の譜代大名である。
[大名統制]
 幕府の大名統制の基本は改易と転封(てんぽう)(国替(くにがえ))である。徳川家康は覇権確立後,関ヶ原の戦後処理を通じて西軍にくみした外様大名を大規模に改易し,その所領を没収するとともに,これらの没収地を東軍に属して功労のあった外様大名に配分して転封する一方,直轄領(天領)に編入しあるいは親藩,譜代大名の取立てにあてた。…

※「転封」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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