高橋名人(読み)たかはしめいじん

知恵蔵 「高橋名人」の解説

高橋名人

1983年に発売されて人気を博した任天堂の家庭用ゲーム機(通称ファミコン」)の名手、いわゆる「ファミコン名人」の先駆け。1959年5月23日札幌市生まれ。本名は高橋利幸。
高校卒業後、北海道自動車短期大学に進学するが、友人に誘われて始めたスーパーマーケットの青果販売のアルバイトに熱中して退学翌年には同店の社員に登用された。当時のマイコンブームで、伝票整理のために購入されたパソコンにのめり込み、同店を退社。カルチャーセンターでパソコンの講師となる。
3カ月後、札幌に本社を置くハドソン社に入社し、東京勤務となる。任天堂、シャープ、ハドソンが共同開発した「ファミリーベーシック」の解説本作成やソフト作成に携わった。
85年頃からは、子ども向けにデモンストレーションを担当。高橋名人と呼ばれるようになる。当時、毎秒16回の速さでボタンなどを押す「16連打」は、ファミコンファンの間で話題となった。マスコミにも多く登場し、「高橋名人」と題したゲームソフトも発売された。
自身は、青果販売やカルチャーセンターでの講師経験が、デモンストレーションで生かされたと語っている。また、「子どもを指導するのではなく、一緒に遊ぶお兄ちゃんでいる」という姿勢が、子どもから愛された理由でもあった。
一方、ゲームの上達のためには、疲労してまで続けるのは逆効果という持論から、「ゲームは1日1時間」と発言し、関係業界から営業上問題視されたこともあった。
2006年11月1日より、ハドソン社内での正式な役職名が「名人」となり、ゲームソフトの普及宣伝に努めた。
11年5月31日、ハドソン社を退社し、6月1日より、ゲッチャ・コミュニケーションズ株式会社に入社。「お世話になったテレビゲーム業界に現在は元気がないので、今後は、メーカー垣根を越えて、様々な形で活動したい」と述べている。

(葛西奈津子  フリーランスライター / 2011年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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