龍虎（読み）りょうこ

精選版 日本国語大辞典

りょう‐こ【龍虎】

[1] 〘名〙

① 龍と虎。りゅうこ。

※三教指帰（797頃）中「前視千金之裘、猶対龍虎」

※浮世草子・好色盛衰記（1688）三「同じく半大夫が龍虎(リャウコ)対のさし櫛」 〔李頎‐愛敬寺古藤歌〕

② 英雄・豪傑など、勢いの盛んなもののたとえ。また、互いに優劣のない二人の強者のたとえ。りゅうこ。

※太平記（１４Ｃ後）一五「官軍彌大勢に成て龍虎(レウコ)の勢を振へり」 〔応璩‐与尚書諸即書〕

③ 天子となるべきものの発する気、天子となる兆をいう。

※太平記（１４Ｃ後）二八「旗文龍虎(レウコ)を書けり、是天子の気に非や」 〔史記‐項羽本紀〕

[2] 謡曲。五番目物。観世・喜多流。観世小次郎信光作。僧が仏跡を尋ねて唐土に渡ると、遠山の竹林を黒雲がおおって不気味な光景なので、通りかかった老いたきこりにわけを尋ねる。きこりは龍虎の戦いが始まるところだと語り、見物をするなら竹林のそばの岩かげに身を隠しなさいと勧めて姿を消す。やがて金龍と虎が現われて壮烈な戦いを見せた後、龍は雲中に昇り虎は洞穴に帰る。

りゅう‐こ【龍虎】

〘名〙 龍と虎。また、互いに力の伯仲した英雄や豪傑などのたとえ。りょうこ。

※日蓮上人（1894）〈幸田露伴〉六「世上俊傑も方外の龍虎(リウコ)も共に群なす鎌倉に出で」

出典　精選版 日本国語大辞典