日和(読み)ひより

精選版 日本国語大辞典 「日和」の意味・読み・例文・類語

ひ‐より【日和】

〘名〙
海上空模様海面天候海路の天候の具合。海の天気
※木工権頭為忠百首(1136頃)郭公「風もなみひよりよくとも郭公なくとまりをば出でじとぞ思ふ〈藤原為業〉」
航行によい空模様。船出によい天候。海がしけていない様子。
曾丹集(11C初か)「はるばるとうらうらけぶりたちわたりあまのひよりに藻塩やくかも」
③ 空模様。天候。空あい。天気。
※浮世草子・日本永代蔵(1688)一「夕の嵐朝の雨日和(ヒヨリ)を見合」
晴天。晴。上天気。よい天候。
※袖中抄(1185‐87)一「日よりの日と云事をひをりと申しなしたりと云義侍り」
⑤ 事のなりゆき。事情。事態。状況。くもゆき。情勢
※浮世草子・日本永代蔵(1688)二「日和(ヒヨリ)を見ても、どれを壱人、出て行けといふものもなし」
※子をつれて(1918)〈葛西善蔵〉二「日和(ヒヨリ)を履いて」

にわ には【日和】

〘名〙 (「万葉‐二五六」の「飼飯(けひ)の海の庭よくあらし」などの、広い海面の意の「庭」を誤解したことによって生じた語)
① 穏やかな天候。特に、航海に都合のよい天気。ひより。また、穏やかな海上の様子。〔仙覚抄(1269)〕
仮名草子・悔草(1647)中「舟路は、日和(ニハ)よくとも、つつしみ有」
機嫌(きげん)。特に、「にわがよい」の形で、機嫌がよいの意で用いられる。
※雨やどり(1786)「日和(ニハ)がよければケラケラ笑ひ」

ひ‐よ・る【日和】

〘自ラ五〙 (「ひより(日和)」の動詞化した語) 日和見的な態度をとる。また、一般に、物事に積極的に関わろうとしないで傍観する。
恍惚の人(1972)〈有吉佐和子一六少し暴れすぎたもんだから。今は日和(ヒヨ)っちゃって、やっぱり卒業はしたいって考えてるんです」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「日和」の意味・読み・例文・類語

ひ‐より【日和】

空模様。天気。「日和をうかがう」
晴れたよい天気。晴天。また、なにかをするのに、ちょうどよい天気。「待てば海路の日和あり」「小春日和」「行楽日和
物事の成り行き。雲行き。形勢。「日和を見る」
日和下駄」の略。
[類語](1気候気象季候時候陽気寒暖寒暑天候天気風土空模様空合い風雲/(2秋日和菊日和小春日和小春日・ぽかぽか陽気・行楽日和

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の日和の言及

【天気】より

…雲が生じて太陽や月が覆われ,雨が降り出す状態は曇天,雨天というのに対し,晴天と表現している。晴は,また日和(ひより)ともいい,日和を見る日和見もある。日本列島は,山地によって多くの面積が占められており,気象の変化は地域ごとにそれぞれ格差がある。…

※「日和」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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