おっとせい

精選版 日本国語大辞典 「おっとせい」の意味・読み・例文・類語

おっとせい【膃ヲッ肭臍】

〘名〙
① アシカ科の哺乳類。雄は体長約二メートル、雌は約一・四メートル。全身ビロード状をした暗褐色の体毛におおわれる。耳殻とかたい口ひげがある。四肢は扁平なひれ状で遊泳に適し、主食魚類。一夫多妻で、一頭の雄のまわりに一〇頭から数十頭の雌が集まる。繁殖地は北太平洋のチュレーニー島(海豹島)、コマンドル諸島プリビロフ諸島で、冬は南方に回遊し房総沖まで南下する。毛皮は良質で、敷皮やオーバーコートに利用される。きたおっとせい。おっと。かいくじん。〔俳諧・毛吹草(1638)〕
② ①の肉を薬としたもの。強精剤とされた。おっとせ。おっとつさい。
※俳諧・広原海(1703)一二「血の薬でも後家は忌め膃肭臍
[語誌](1)アイヌ語の onnep を中国で膃肭と音訳し、その臍(ほぞ)が薬用にされ、本草家に「海狗腎(かいくじん)」または「膃肭臍」と呼ばれた。それが中国の本草書から日本へはいってきたものである。
(2)「文明本節用集」に「膃肭臍 ヲットッセイ」とあり、「伊京集」には、「膃肭臍 ヲットッサイ」とある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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